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そこはトンネルの中 必ず出口はある

2020年3月27日 16:41
そこはトンネルの中 必ず出口はある

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回のテーマは「若者の自殺 どう防ぐ?」。大宮エリーさんに聞いた。

厚生労働省のまとめによると、去年1年間に自殺した人の数は2万169人、10年連続で減少し、統計開始以来、最少となりました。しかし、10歳から19歳までの未成年に限っては659人と3年連続で増加しており、その理由は学校問題、健康問題、家庭問題という順になっています。ネットでは「将来を担う若者を救えないのか」「消えてなくなりたいという思いはわかる」「若者の死因トップが“自殺”。絶望する」といった声がありました。

――大宮さんに、若者の自殺をどう防いだらいいのか、ご意見を伺います。フリップをお願いいたします。

「トンネル」。私もいじめられたことがあり、「この暗黒がずっと続くのであればここに居られない。消えてなくなりたい」という気持ちもありました。でもそれは結局トンネルで、必ず出口があるということが伝わることが、大事だと思います。それが続くと耐えられなくなってしまうので、「そうじゃないよ」というふうに大人が教えてあげる、メッセージをすることが大事です。私の場合はもう一つのコミュニティーを持ったことがきっかけでした。

私は学校でいじめられていて、家庭も協力的でしたが学校だけが全てと思っていました。そんなとき習い事で塾に行くようになり、そこがすごくアットホームで「私ここには居てもいいのだ」という場所ができました。色々な場所があると思いますが、家庭、学校、さらにもう一つ居場所を作るということが大事で、もし悩まれている人、そしてそういう人が身近にいたなら、何かもう一つ別のコミュニティーを示してあげるということが、キーになってくるかなと思います。

――つらいことが目の前にあるとそれだけが全てだと思ってしまいがちですが、他のところに行ってみると、新たな景色が見えてくるということですね。

意外と世界は広い、今の場所から逃げ出すことも積極的なことであるということ。自分を守るということも、ポジティブだと思って勇気を出して逃げてもらいたいと思います。

――大宮さんにとって信頼できる人はそこで見つかったのですか。

そうですね。現状、私も親友が北海道と沖縄にいます。最近オンラインの学校を立ち上げたのも、今は自分の心を許せる人がいなくても、遠くで繋がれるかもしれない、そういう時代に入ってきているから。必ず誰か自分を理解してくれる人がいるとみんなに伝えたいです。

――確かにオンラインだと、どこからでも集まることができますね。

はい。身近にいなくても必ずどこかにいて、24時間つながっていられますからね。

――見ている方の中にはお子さんが今そういったことで悩んでいる方もいると思うのですが、親目線で見たときにどういうことができると思いますか。

「学校、どう?」と聞いても「大丈夫」と言って現状を言わない子どもたちも多いとは思いますが、オンラインの学校でもいいですし、そのほかの違うコミュニティーに一緒に参加することで会話が生まれ、言いやすくなる環境ができてくると思います。「こういうものもあるよ」と提示してあげることが、親ができることの一つかもしれません。

――選択肢を提示するということですね。つらいと思ったら引きこもりたくなってしまいますが、引きこもっていてもオンラインという手段もありますし、そこで信頼できる人が見つかるといいですね。

そうですね。「こうでないと駄目」といったことはないので、「いろんな角度からの可能性がある」というふうに思ってもらいたいです。私もいじめられていましたが、今はあります。ずっとは続かない。1人になって「つらい、つらい」と思わず、誰かとシェアしていくということをしてもらいたいです。

――だからそういった方の話を聞く機会を与えられてもいいかもしれないですね。

そうですね。

■大宮エリーさんプロフィル
東京大学薬学部卒業後、大手広告代理店勤務を経て2006年に独立。映画、エッセー、小説、脚本、演出、CMと、ボーダレスに活躍を続け、近年は画家として国内外で活躍。各地でライブペイントや子ども達とのワークショップ、地方活性化のパブリックアートを行い、最近ではオンラインの学校も立ち上げた。現在取り組んでいる「ハートプロジェクト」では、新型コロナウイルスの影響で世界中に自粛ムードが広がる中、家で退屈している子どもたちにハートを描いてもらい、SNSで共有。それをもとに大きなハートのアート作品を仕上げる。

【the SOCIAL opinionsより】