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対話によるケア 親と子どもを救う相談

2020年3月26日 17:29
対話によるケア 親と子どもを救う相談

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回のテーマは「新型コロナ拡大 子どものケア」。古東麻悠さんに聞いた。

新型コロナウイルスの感染拡大や臨時休校で登校や友達と遊ぶことを制限され、多くの子どもたちがストレスを感じながら過ごしています。

ネット上では…

「リズムが乱れないよう、生活の流れを紙に書いた」
「人気のない公園で体を動かしている」
「今できることに全力を尽くそう」

といった声などがあります。


――古東さん、このことに関してどう思われるのか、フリップをお願いいたします。

「相談の循環」と書かせていただきました。

本当に今とても大事な問題と局面を迎えていると思うのですが、子どもたちも、やはりその渦の中に入っていて、小児科医としてはかなり気になるところです。色々な制限あり、予期していない環境に置かれているというのは、私からすると病院に長くいる子どもたちも同じ環境なのかなと思うところもしばしばあり、その中で具体的にどういったケアをしているかについてお話をさせていただければと思っています。


――どういうことをされているのでしょうか。

大人からすると子どもたちは理解が追いつかないとか、大人ほどの発言力もない、というのは確かなのですが、それぞれの年齢に合わせた発達や理解度というのは確実にあります。だいたい2~3歳を超えていれば、しっかり伝えるということをすると本人はそれなりの理解を示していける年齢といわれています。

逆にそれを伝えないと、子どもたちは「あのときお母さんの言うことを聞かなかったからだ」というふうに自分を責める形で消化しようとしてしまいます。そういったものを避けるために、まずはこの状況がその子のせいではないということをしっかり伝えて欲しい、というのが最初にあります。

それに対しての子どもの反応というのは本当にそれぞれで、言葉で表現できる子もいれば、態度や普段の生活が少し不安定になるという形の表現をする子もいます。その反応に対して否定しない、受け入れていくということが、その子にとって「自分は尊重されているのだ」という受けとめにつながるので、とても大事な行為だと思っています。

しかしその場合、お父さんやお母さんたちが疲れてしまうということも招きかねないので、子どもから受けたものをお父さんやお母さんが相談する相手をどんどんつなげていけるような「相談の循環」というものが、こういった事態のときは大事なのかなと思います。


――お父さんやお母さんの相談相手というのは具体的にどういったところになるのでしょうか。

今制限されている中でとても難しい部分もあるのですが、こういうことをきっかけに最近はオンラインでの相談の場や専門家の意見を聞ける場もあるそうなので、こちらとしてはそのような情報を提供していきたいなと思いますし、そういった情報に耳を傾けていただければと思っています。


――各場所で対話を大切にすることですね。

そうですね。本当に刻々と事態は変わっていくので、しっかり話すということはすごく大事だと思います。


■古東麻悠さんプロフィル
日本で小児科医をして働く傍ら、新興国に赴き医療や公衆衛生の課題を解決する取り組みを行っている。幼少期をアメリカ・ニューヨークで過ごし、帰国後アイデンティティーやマイノリティーについて考えるなか、世界の人とつながりながら子どもを軸にして働きたいと感じ、医師を目指すようになる。NPO法人で、病気の子どもたちに向けたデジタル・アートを使ったリハビリ開発のメディカルアドバイザーも行っている。また、高校生を新興国の社会起業家に送り出すプログラムなどにも携わり、世界中の子どもたちの生き方や可能性を広げることを目指している。

【the SOCIAL opinionsより】