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世界の30億人が家で手洗いをできない

2020年3月23日 15:36

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「世界の30億人 家で手洗いをできない」。「ビジネスレザーファクトリー」の代表を務める原口瑛子さんに話を聞いた。

ユニセフ(国連児童基金)は3月13日、世界人口の40%に当たる30億人は、石けんで手を洗う設備が自宅にないと明らかにしました。ユニセフは「石けんによる手洗いは新型コロナウイルスや、ほかの感染症から身を守る上で最も安価かつ効果的な手段だが、それすら手が届かない人が何十億人もいる」と警鐘を鳴らしました。

例えば、バングラデシュでは、都市部で暮らす人口の約半数にあたる2900万人は、基本的な手洗い設備が自宅にないとしています。

ネット上では…

「日本で当たり前のことが世界では当たり前じゃない」
「手洗いできる環境で、しない人はどうなの?」
「バングラデシュは都市部でも手洗いできないのか」

などの意見がありました。


――この話題について、原口さんの見解をいただきます。フリップをお願いします

「『働く』機会を創る」です。

やっぱり国として、社会インフラというのが整ってないっていう現実はあると思います。

ただバングラデシュのなかでも、全ての人が社会インフラにアクセスできないというわけではありません。豊かな人たちはアクセスができるんですけども、一方で、やはり貧しい人たちっていうのは、なかなかそういう社会インフラにアクセスできないという問題があります。

やはり、毎日生きることに必死という状態ですね。ですので私たちの事業としては働く場をつくる、雇用をつくるということで安定的な収入を得る。収入を得て、その上で社会インフラにアクセスできるような未来の投資ですね、それができるような事業をやっていきたいなと思って、働く場を作るということが1つのソリューションとして大切かなと思っています。


――現状はどうなんでしょうか。

実際に例えば、先日、バングラデシュにあるスラムに行ったのですが、やっぱりそのスラムでは手洗いとか、うがいとかで、衛生的な水にアクセスできない人がたくさんいます。

一方で、私たちの工場で働いているメンバーたちは、やはり家に水が引いてあったりとか、手洗い、うがいの大切さを知る機会っていうのがあるので、そういうことを事業として広げていきたいなと思うんですね。


――基本的にはどういった人を採用しているのでしょうか。

バングラデシュには、貧しい人がたくさんいるんですね。工場の前に、たくさんの人たちが来るんです。採用してほしいということでくるんですけども、私たちの場合は、私たちの工場でしか働けない人たちを積極的に採用してます。

逆にいうと、他の工場でも働ける人たちは採用してないというような形になります。他の工場では門前払いされる人たちですね。


――“私たちの工場でしか”というのはどういうことですか。

具体的には、先ほどお伝えしたような若年層とか、シングルマザーとか障害者の人たちっていうのは、他の工場に行くんですけども、技術がなかったりとか、経験がないということでなかなか働けないので、そういう人たちを採用してます。


――今後はどういった展望をお考えでしょうか。

バングラデシュで事業を始めて、やはりこれをロールモデルとして成功させていくというのが大事だと思うんですが、世界にはたくさんの貧しくて働きたくても働けない人はたくさんいると思うんです。ですので、このロールモデルを世界中に広げていくことで、世界中の貧困をなくしていきたいなというふうに思っています。


――本当にそういった手段、働きたい人たちの道だったり、希望になっていきそうだなと感じますが、それが今日のテーマでもある家で手洗いをすることにも、つながっていくんだなということも改めて感じました。


■原口瑛子さんプロフィル
ビジネスレザーファクトリー代表。原口さんは「貧しい人々の役に立ちたい」と大学院卒業後、国際協力機構(JICA)に入構。その後、ソーシャルビジネスで社会問題を解決したいと2015年にボーダレス・ジャパンに入社。2017年 ビジネスレザーファクトリーの代表に就任しました。ビジネスレザーファクトリーは全国17店舗に拡大。バングラデシュの工場では600人以上の貧困層の雇用を生み出しています。

【the SOCIAL opinionsより】