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いよいよ始まる5G時代 増す対話の重要性

2020年3月12日 14:39
いよいよ始まる5G時代 増す対話の重要性

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「いよいよ始まる5G時代」。産業医で眼科医の三宅琢氏に話を聞いた。

超高速で大容量の通信が可能となる次世代通信技術5Gの本格サービスがこの春、いよいよ始まります。ソフトバンクは5Gを使ったスマートフォンのサービスを今月27日から始めると発表。NTTドコモやKDDIも、この春にはサービスを始める予定です。5Gが広がれば高画質の映像の視聴やテレビ電話などがよりスムーズになります。

三宅さん、情報通信の世界は新たなステージに突入しますが、どう感じてらっしゃいますか。


――まずはフリップをお願いします。

「ICHI NIN SHOW(位置認証・一人称)」と書きました。

「ICHI NIN SHOW」って書いてあるのですが、一般的には自分のいる場所を認証する“位置認証”ということで、携帯電話がどこにあるのかをGPSなどで調べることをいいます。もう1つは“一人称”、主語が「私」なのか「あなた」なのか一人称なのか二人称なのかというところで使う言葉で、掛け言葉にしています。

5Gの時代になると人がどこにいても、例えば遠くにある映像を見たり音を聞いたり、さらには触覚伝送で触るということもできるようになる。そうすると空間や距離の概念が全くない時代になって、人がテクノロジーでどんどん仕事を代行されていく時代になってきます。その時に、人が初めて本当の健康とは何か、幸福は何かというものを考えられる時代になると思います。

その際に、この“位置認証”そもそも今自分たちはどこにいるのか、という場所の確認をするためには他人と対話することがすごく大事で、特に違う分野の人、違う価値観の人と話すことで、自分の幸せ・幸福感というのを考えていく時代になると思います。

そこになぜ、“一人称”という言葉が出てくるかというと、「あなたの健康と私の健康は違う」ということです。病気があっても障害があっても自分にとって幸せとは何か、自分にとって健康とは何かということを、全ての人が自分の言葉にしていくことが求められる時代。それができるようになったときに、この「ICHI NIN SHOW」の「SHOW」をあえてショータイムのショーという言葉を使っていますが、全ての人が自分の人生を1つのショー、劇のような物語にできる時代がいよいよ来るということで、僕はこの5Gにすごく夢を感じているというか、いい時代が来るなと思っています。

――なるほど。対話が大切ということですが、今もオンライン化が進んでいて、そうすると対話って実際どうやっていけばいいのだろうと思うのですが。

そうですね。実際に企業であった例で、会議がどんどんオンライン化していて、終わった瞬間に話が終わってしまう。でも実際の会議は、その後のちょっとしたムダ話が良かったりするので、会議後に少し“遊び”の時間を作って、あと誰か何か言いたいことがあったら残っていますからという時間を作ることが考えられます。

――会議時間はもともと1時間だけど、数分足しておくということですか。

遊びの時間を3分ぐらい作っておくとか、あとはたばこの喫煙所のようにたばこは吸わないけれど、そこに行くと自分の部門とは関係ない人たちと少しおやつを食べながら、たばこを吸わない喫煙所みたいなものをつくる。忙しい仕事の中にいかに遊びを作っていって、デジタルだけど人間が感じられる関係性を作るというのは大事かなと思います。

■三宅琢氏プロフィル
産業医で眼科医。眼科医としてキャリアをスタート。その後、病気だけでなく人と社会を治すことを理念に産業医として起業。企業へのハラスメントや対話研修をはじめ、さまざまなコンサルティングを行っている。眼科医としても目の不自由な人が、自分らしく生きるため笑顔を増やして自ら治る新しい医療のあり方を検討。さらに「社会医」と称して日本の伝統や健康の意味を、対話を通して学ぶ番組を配信するなど気づきと学びを処方する医師として活躍。

【the SOCIAL opinionsより】