どう戦う?大統領選とセレブたち
「ケビン・コスナー氏が登場しました」
アメリカ大統領選にセレブたちが参戦!若手として一時躍進していた民主党のブティジェッジ氏の集会に登場し支持をアピール。
更にマイケル・J・フォックスさんも――
「次期アメリカ大統領を紹介します」
ブティジェッジ氏を大統領にするべく奮闘。
大人気ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」で主人公の1人を演じたシンシア・ニクソンさんは、民主党のサンダース候補を応援。
長年、政治的発言を封印してきた歌姫、テイラー・スウィフトさん。おととしの中間選挙で、初めて自ら民主党候補に投票することを公表。インスタグラムで、若者に選挙に行くよう呼びかけ、大きな反響を呼びました。
俳優マイケル・ダグラスさんは民主党で大富豪のブルームバーグ氏を応援。
一方、現役のトランプ大統領も負けてはいません。人気ラッパーのカニエ・ウエストさんをホワイトハウスに呼んで、親密ぶりをアピール。
“セレブ”の華やかさと話題性、影響力を味方につけながら、選挙戦に挑む候補者たち。
選挙戦序盤の最大のヤマ場、スーパーチューズデーを経て、トランプ大統領の対抗馬は、バイデン候補とサンダース候補の一騎打ちの構図が固まりました。
【日本テレビ国際部・田中絵麻記者による解説】
――支持者集会に日本でも有名なハリウッドスターが続々と登場して、とても華やかでアメリカらしいなというような印象ですね。
そうですね、日本では俳優や歌手などの有名人が「○○党の誰々さんを応援しています」というような政治的スタンスを公表することはあまりないですが、アメリカでは政治的な発言はよくあることなんです。人気歌手のレディー・ガガさんは、去年、コンサート中にトランプ大統領を批判したことで大きな話題を呼びました。
――どのような批判をしたのですか?
はい、まずはこちらのVTRを御覧ください。
レディー・ガガさん「無能なアメリカの大統領が政府機関を再開してくれればいいのに(歓声)。ぎりぎりの生活をしていて政府からの給与を必要としている人たちがいる」
当時、アメリカとメキシコの国境沿いの壁をめぐって与野党の対立が起きていて、大勢の政府職員が無給で勤務する影響が出たんです。レディー・ガガさんはこの問題について批判したんです。
――人気歌手がステージ上でトランプ大統領を名指しで批判していてちょっとびっくりしました。日本ではアーティストが政権幹部に対して公に批判するというような光景はあまり見ないですね。
そうですよね。影響力がある存在だからこそ、政治的な言動をとることで自身のイメージ悪化などにつながりかねないという懸念がありますよね。
――それに対して、アメリカのセレブたちは選挙であったり、投票行動に影響を与えるような言動がとても目立ちますね。
はい、VTRにも登場したケビン・コスナー氏は集会で「子どもたちの将来やアメリカをよりよくできるのはブティジェッジ氏だ」と話し、なぜ自分がブティジェッジ氏を支持するのかについてアピールしました。アメリカではセレブに限らず、国民も積極的に選挙に参加することが当たり前で、自分たちの意見を公表して政治に反映させることをとても大切に考えているんです。
――セレブたちは自身の影響力と知名度をうまく活用して政治活動に関わっていますね。
長年政治的な発言を封印してきたテイラー・スウィフトさんも2018年、中間選挙の時に初めて民主党を支持していることをインスタグラムで公表し、若者に有権者登録を呼びかけたところ、大きな反響がありました。この投稿の後、若い人による有権者登録は4日間で27万人も増えたんです。
――4日間で27万人ってすごい人数ですよね。日本でも最近だとアイドルの方など有名な方々が、投票を呼びかけるという動きも始まりつつありますが、それでも若い人たちの投票率はまだまだ少ないですよね。
そうですよね。大統領選にはハリウッドスターだけではなく、スポーツ選手も積極的に関わっているんです。先日、ニューハンプシャー州で行われたバイデン候補の集会には、フィギュアスケートの元世界女王、ミシェル・クワンさんが駆けつけ、支持者に向け「誇らしいチーム・バイデンの仲間のひとり」だと呼びかけ、バイデン候補への支持を表明しました。
――スポーツ選手が選挙活動に関わるというのは日本ではあまりないですよね。
日本では現役を引退したスポーツ選手が政治家になるというケースはありますが、現役の選手が選挙活動に介入することはないですよね。アメリカのサッカー女子代表のミーガン・ラピノー選手は現役ですが、つい先日、大統領選からの撤退を表明したウォーレン氏の支持を表明していました。ラピノー選手はツイッターでウォーレン氏から電話で感謝を伝えられた様子を動画で公開したところ、約7万2000件の「いいね」、そして1万件以上もリツイートされました。まさにそのときの動画があります。2人ともうれしそうに話していますね。
――そうですね。なんか親近感がわきますよね。SNSなどを通じて、より多くの人に、このような情報などが拡散されると大きな宣伝になるんだということはわかりますが、そもそも、セレブの皆さんは昔から大統領選に関わってきたんでしょうか。
実は、ちょうど100年前からなんです。20世紀のアメリカを代表するエンターテイナーの1人といわれた歌手で、俳優のアル・ジョルソン氏が、当時、のちの第29代、アメリカ大統領となったウォレン・ハーディング氏のために曲を作ったことが最初とされています。
こちらが、1920年の大統領選のために作られた共和党の公式キャンペーンソングで、左がハーディング氏、右が副大統領に立候補していたカルビン・クーリッジ氏です。曲のタイトルには、「ハーディング、あなたは、私たちに必要な人」と書かれています。
――100年も前から、政治と著名人が、お互いに関わりあっていたとはちょっと驚きですね。
時代とともにかたちは変わっていますが、今も昔も大統領選はセレブたちを巻き込んで行われてきたといえますね。そんなアメリカ大統領選ですが、トランプ大統領の対抗馬は、民主党のバイデン候補VSサンダース候補という構図が固まりました。路線の違いが明確な2人なんですが、民主党の支持者は、「どちらならトランプ大統領に勝てるのか」という観点からも見ています。これまでサンダース候補がリードしていたんですが、最新の世論調査では、バイデン候補がサンダース候補を大きく上回っている状況です。
――世界が本当に注目しているそのゆくえ、目が離せないですよね。
【the SOCIAL viewより】