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障害者スポーツ 盛り上がりどう維持するか

2020年2月27日 15:52
障害者スポーツ 盛り上がりどう維持するか

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「パラリンピック後の障害者スポーツ」。NPO法人・D-SHiPS32代表の上原大祐氏に話を聞いた。

ヤマハ発動機スポーツ振興財団が、パラリンピック後の2021年4月以降の事業の進め方について、障害者スポーツ競技団体に行った調査によりますと、一番多かったのが「縮小(17団体)」で、次いで「現状維持(15団体)」、「拡大(14団体)」となりました。内訳を見ると「拡大」と答えたのはすべてパラリンピック競技以外の団体でした。一方、「縮小」と答えた17の団体のうち16がパラリンピック競技の団体でした。

調査を分析した笹川スポーツ財団の小渕主任研究員は「縮小をどれだけ押さえられるか。急激に下がったら何のためのパラリンピックだったのかとなりかねない」と指摘しています。

上原さん、この結果をどうみていますか。

――まずはフリップをお願いします。

「受ける側→提供する側」と書きました。

これはどういうことかというとサービスの話になります。障害のある人たちはまだまだサービスを受けるだけの側みたいな印象が我々含めてあって、もっともっと我々障害のある人たちもサービスを提供する側にならなくてはいけない。そういった意味でいうと、団体の話に戻って、やはり今は、ただお金がもらえている状況である。だから何もしなくてもお金がもらえるからいいという“受ける側”から、協会の皆さんたちは自分たちで発信したり、サービスを提供したりしていくことによってどうスポーツを事業にしていくか、どうエンターテインメントにしていくかというところをもうちょっと考えて、自ら発信していく“提供する側”になっていかないといけないなと思っています。

なので、「縮小」と答えた17団体中16がパラリンピック競技の団体ということでしたが、今年のパラリンピックに向けてどんどん予算がおりている状況なので、次はなくなっちゃうだろうなという想像からパラリンピック競技の団体、16団体が縮小するといっている。

逆に拡大するっていうのがパラリンピック競技以外っていう意味でいうと、今もらっていないから拡大していくという意味合いだと思います。

――この提供をする側で何か良い例はありますか。

ブラインドサッカーです。彼らは国などからもらった予算だけではなく、自分たちで事業を作って、企業に研修などを展開しながらちゃんと収益を上げている。あとブラインドサッカーは観客の皆さんからも入場料を取っているので、ちゃんとお金をどう回していこうかというところをしっかりやっているのがブラインドサッカーになります。ブラインドサッカーを皆さんもうちょっと見習うといいのではないかなと思っています。

――なるほど。団体同士の連携や情報提供がどんどん進んでいくといいですね。

まだ多分少ないので、そこをもっともっと活発にコミュニケーションをとっていく必要があるかなと思います。

■上原大祐氏プロフィル
NPO法人・D-SHiPS32代表。NPO法人で障害のある子どもたちがスポーツや夢に挑戦できる環境づくりを行う。生まれながら二分脊椎症の障害があり、幼少期から車イス生活を送っている上原さん。19歳で始めたパラアイスホッケーでトリノパラリンピックに出場。バンクーバーパラリンピックでは銀メダル獲得に貢献した。海外で障害のある子どもが気軽にスポーツを楽しむ様子をみて、日本のバリアフリーの遅れを痛感。石川県中能登町の「障害攻略課」プロジェクトを立ち上げるなど、障害者の理解促進を図っている。またNECの社員としても東京オリンピック・パラリンピック、さらにそれ以降の日本を見据えさまざまなプロジェクトに取り組んでいる。

【the SOCIAL opinionsより】