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伊豆人気温泉地で…温泉出なくなる?何が

2020年2月26日 19:23
伊豆人気温泉地で…温泉出なくなる?何が

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、伊豆半島にある人気の温泉地でも、観光客が激減しているという。さらに、この温泉地では、ある要因で、温泉が出なくなるかもしれないという。いったい、何が起きているのだろうか。

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日本で有数の観光地、静岡県の伊豆半島。南伊豆町には、「日本の渚100選」にも選ばれた弓ヶ浜海水浴場が。その名の通り、弓形に弧を描く美しい海岸だ。しかし、今、ピンチに陥っている。

多くの観光客が立ち寄る酒店では…

岩田商店・岩田稔さん「2月になってからコロナウイルスのこと、大きな影響を与えて、経済的にはかなりの打撃を受けていますね」

本来、南伊豆町は、2月に川沿いに咲く、早咲きの河津桜を見にくる多くの中国人団体客でにぎわうシーズンだが、今年は、激減しているという。

さらに、町を揺るがす別の大きな問題も起きている。

岩田さん「温泉があり、弓ヶ浜にある海水浴場があり、それで観光地として成り立っている。もしかしたら(温泉が)将来枯れてしまう」

弓ヶ浜温泉が出なくなる可能性があるという。

露天風呂が人気の旅館「壺中の天 宿○文」は良質な温泉目当てに訪れる観光客が多いという。しかし…

壺中の天 宿○文・村田文人取締役「3年前の冬くらいから若干湯量は少ないかもしれない」

この地域では、ここだけではなく、複数の温泉施設で、湯量が減少しているという。

異変は、ほかにも。

村田取締役「温度が下がっちゃうので苦労してるかな」

温泉がぬるくなったため、冷え込む夜の露天風呂の営業を、今年に入って中止せざる得ない状況に(露天風呂:夜12時~朝5時まで中止)。

人気の温泉地でいったい、何が起きているのだろうか。向かったのは、温泉を管理している会社。

弓ヶ浜温泉・内藤じゅん子社長「このポンプで弓ヶ浜まで(温泉を)送っています」

実は、弓ヶ浜温泉には、温泉の湧き出る源泉が元々ない。そのため、温泉はおよそ5キロほど離れた場所からパイプで運ばれている。そのパイプに、温泉量減少のワケが隠れていた。

パイプの中を見てみると、直径20センチほどのパイプの3分の2ほどが黒い付着物で埋まっている。これは「スケール」と呼ばれる、温泉に含まれる成分が固まったもの。これがパイプ内にこびりつき、温泉がうまく流れなくなっている。湯量が減ったことで、ぬるくなっているとみられる。

「スケール」を除去するには、薬を使って溶かす方法があるが…

温泉を管理する会社・従業員「(敷設後)30年くらい部分部分でやったのですが、結局コンクリの下なので」

パイプが道路の下を通っている場所もあり、なかなか進まないという除去作業。また、パイプ自体を全て交換する方法もあるが、数億円の費用がかかるともいわれていて、1つの会社で負担するのは、厳しいという。

そこで去年の末、宿泊施設の代表者らは、「温泉存続」の署名、およそ4000人分を集め、町長に支援を求める要望書を提出した。町はどうするのか。26日、町長に話を聞くと――

南伊豆町・岡部克仁町長「(温泉管理会社も)温泉を受けている宿泊施設も民間の事業者であるので、町として公金を投じるのは厳しい」

今後、どのようにしたら国や県から支援してもらえるか、検討していきたいという。

岡部町長「弓ヶ浜温泉は町にとって貴重な資源なので守っていかないと」

また、26日、温泉宿の代表者による会合が開かれ、仮のパイプを一部の場所に設置することで、温泉をスムーズに届けることを考えているという。