×

自治体職員の上司への不満 どう捉えるか

2020年2月20日 14:52
自治体職員の上司への不満 どう捉えるか

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「自治体職員 上司・幹部への不満大きい?」。地方自治体を応援するメディアを運営する、ホルグ代表取締役社長の加藤年紀氏に話を聞いた。

自治体通信の調査によりますと、「年齢・役職に関係なく自分の意見を言える雰囲気か」との問いに「そう思わない」と答えたのは、自治体が27.4%だったのに対し、民間企業は20.5%。さらに、「部下育成に対して意欲的と思うか」との問いに「そう思わない」と答えたのは、自治体は36.6%で、民間企業は23.5%。いずれも、自治体の方が高い数値となりました。

この結果について加藤さんのご意見をうかがいます。


――まずはフリップをお願いします。

「不満は改善のタネ」と書きました。

現状としてこの数字が決していいとは思いません。不満があがっているというところがすごくミソだと思うのですが、まず大前提として背景を考えることがすごく大事かなと思っています。というのは、地方自治体は2000年4月まで国の下請けのような仕事を多くしていました。なので、あまりクリエーティビティを求められることもなく、職員個人の力を引き出すマネジメントを受けることもなかった。今そういう方々が管理職世代になっていて、なかなか急に「チャレンジをしろ」といっても難しいと思います。その上で、僕は不満というのはやはり改善のタネなのかなと思っていて、今も社会は不満がありながらも回っているわけなので、一つ一つ改善していくことで、もっともっと公共の力が発揮できるのではないかと思います。僕は逆にすごく可能性を感じています。

――改善の手法、具体的に何が考えられますか。

人事的な話が多いのかなと思っているのですが、ボトムアップの力を引き出していくことが最近、企業においてもすごく重要なことなのかなと思っていて、組織として一人一人、若手・中堅も含めて、個人の力を引き出すようなマネジメントをしていく。その方向性をしっかりトップから幹部層、ないしは中堅・若手まで伝えていくということが大事かなと思っています。

――だからこそ、加藤さんもこの4月から奈良県生駒市で人事改革をしようとしているのですね。具体的にどういったことを考えているのでしょうか。

すごくわかりやすいのは、例えば配置の問題があると思っています。地方自治体の場合、3年周期でだいたい異動してしまうのですが、なかなか専門性を育てていけないことが多い。その際にもう少し、今の力を発揮できるような部署に異動できるようにするといったことが短期的には考えられるかなと思っています。

――また生駒市は副業を解禁したりしていますよね。

そうです。なので、行政だけでできることはすごく少ないと思うので、民間企業と連携を行い、また逆に民間の人材をもっと中に入れていく。そういった動きもすごく重要かなと思っています。

■加藤年紀氏プロフィル
ホルグ代表取締役社長。地方自治体を応援するウェブメディアを運営し、活躍する地方公務員にフォーカスした情報を発信。また『地味』『派手』問わず成果をあげている職員を表彰する「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード」を主催している。さらに地方公務員を支援するオンラインサロンも運営。書籍『なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?』も出版した。この4月からは、奈良県生駒市の非常勤職員として人事改革にも携わる。自治体職員が能力を生かし働ける環境を作ることを目指している。

【the SOCIAL opinionsより】