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女性リーダー世界で続々、日本の男女平等は

2020年2月14日 16:29
女性リーダー世界で続々、日本の男女平等は

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「男女平等、日本は後退、 遅れる女性の政治参画」。日本テレビ政治部の小西美穂解説委員に聞いた。

世界経済フォーラムは、去年12月、世界各国の男女平等の度合いを調査した2019年の「ジェンダー・ギャップ指数」を発表しました。首位は11年連続でアイスランド。次いでノルウェー、フィンランドと北欧の3か国が占めました。アメリカは53位で、ずっと下がって中国106位、韓国108位、インド112位となっています。そんな中、日本は153か国中121位と前回の110位から順位を下げ、過去最低となりました。


――想像以上に日本の順位が低くて、びっくりしたんですが、日本は、中国や韓国よりも男女格差があるということなんでしょうか?

今回、特に政治分野の遅れが全体の順位を大きく押し下げたかっこうになったんですね。

政治分野では、153か国中144位。前回が125位だったのが大きく下げて、この遅れが全体に響いたかたちになったんですね。というのも、世界の女性議員の比率は、24%、そして日本の衆議院議員の女性議員は10%、1割となっているんですよね。ですから、衆議院では10人いたら9人が男性の議員で、ひとりが女性議員になっているということです。

全体順位も過去最低ですので、安倍政権は、女性活躍推進を掲げながらも成果に乏しい状況というのがあらためて浮き彫りとなったといえると思います。


――こんなに女性の社会進出がうたわれているので、もっと進んでいると思っていました。

確かに取り組みは進めています。でも他の国はもっと努力している。スピーディーにやっているということなんです。90年代ごろから女性の政治家を増やそうということで、諸外国は、制度の改革や政党、議会が取り組んできた訳ですよね。クオータ制などの導入に動いて努力を重ねて今に至っていると、これはもう何十年もかけてきているわけですよね。

この間、日本は策を講じてこなかったので、大きな差が開いてきたという訳なんです。日本は先進国で、そして民主国家ですけれども、ここまで男女の比率が偏っているという国は、ほとんどなくて、これは「例外的事例」にもなっているんです。


――逆にいうと、他の国は、そこまで女性の社会進出が進んでいるということですね。

いまや世界のいろんな国で、女性が政治の最高指導者となって活躍している現状があるんですね。特に去年は相次ぎまして…

・スロバキア初の女性大統領 チャプトバ大統領
・デンマーク史上最年少のフレデリクセン首相
・ベルギー初の女性首相 ソフィー・ウィルメス首相
・フィンランドで34歳のサンナ・マリン首相、去年12月に就任。


――女性がトップにたっているということなんですよね。

国連女性機関の調査では、現職の女性大統領、女性首相は、20人にのぼるということです。


――そんなにいるんですか?

そうなんです。そこで、マリン首相に注目したいんですけれども、彼女の新内閣というのは、19人のうち12人が女性なんですね。男性は7人で女性の方が多い内閣となったわけです。

さらに5党による連立政権を組んだわけですが、こちらの方々、党のリーダーなんですが、全員女性なんですね。この5人のうち4人が35歳未満、1人は55歳という顔ぶれなんです。


――お若いですし、皆さん女性ですし、日本では考えられない光景ですね!

ちょっと、どんな背景があるのかフィンランド大使館に聞いてきました。フィンランドは主権者教育が盛んで、大きな選挙があるときは、学校で本物さながらの模擬選挙を行うそうなんです。

政治参加の重要性を小さい頃から学んでいきます。これ小学校から全国規模で行う本格的な模擬選挙になっていて、結果が報道もされます。だから、党の人たちも子どもたちにわかりやすく政策を説明するということなんです。

さらに各政党の青年部がアクティブに動いていて、閣僚に就任した30代の彼女たちは、15歳から党の青年部に所属していて、勉強会や討論会に参加していたというんです。若いけれども15年ぐらい政治に関わっていることになるんです。


――しっかりと政治知識も入った上で、いま政治のトップにいるということなんですね。

このように、意思決定の現場、女性が政治的なリーダーに就くということはロールモデルになって、女性が尻込みせずに議員になろうとして立候補したりと女性議員が増えるという効果もあるんです。


――同性としては親近感も持てそうですよね。

さらに、もうひとつ紹介したいんですが、こちらカナダのトルドー首相なんですが、去年、2期目の内閣を発足して、閣僚を男女同数の内閣にしたんです。

実は2015年に就任したときも男女同数の内閣にしたんですね。そのとき「どうしてこういうことにしたんですか?」って理由を聞かれ、トルドー首相がなんて答えたかというと「2015年だから」と答えました。もう今の時代、注目することではないんじゃないですか?っていうことなんです。今の時代、当たり前だということです。

では、日本がどうかというと入れ替えはありましたが、去年、組閣した当時は安倍首相を含む閣僚の平均年齢は61歳。女性閣僚は当時2人でしたよね。


――たしかに、こうみてみると男性が多いですよね。

日本はそもそも女性議員の数が少ないので、自ずとこういう構成にになりますね。


――ではオピニオンです!お願いいたします。

「議会と政党もっと“敏感”に」です。

この問題の最大のネックは、議会と政党が、これまで鈍感だったということなんです。積極的に動いてこなかったということなんです。

これからは、男性に偏っている日本の政治の現状にもっと敏感になっていただいて、議会はどんな改革がふさわしいか議論をして、政党は女性議員を増やすという数値目標をたてて“それができなければ、これをする”といったぐらいの、思い切った改革をしないといけないと思うんです。

そうすることで、年齢とか性別にとらわれず、平等に機会が与えられて、能力が重視されるという、そういう社会につなげていくということですよね。

社会にはさまざまな年代、性別の人がいるように政治にも当たり前のように多様な世代、年齢、バックグラウンドを持つ議員が必要だと思うんです。その議会が社会を変えていくのだと思います。

【the SOCIAL opinionsより】