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米大統領選に向け対抗心燃やす議員

2020年2月7日 17:13
米大統領選に向け対抗心燃やす議員

トランプ氏の原稿をビリビリに。大統領選に向け対抗心が燃えています。これは今月4日に行われた共和党・トランプ大統領の一般教書演説。後ろに座る女性は、民主党の下院議長。演説の前、トランプ氏に握手を求めますが…トランプ氏は、これをスルー。演説が終わると、トランプ大統領の演説原稿を、破って、破って、破りました。今年11月に迫った大統領選を前に、互いに対抗心が燃えているようです。

トランプ大統領と戦う民主党候補は誰になるのか。急速に支持を伸ばしているのは、38歳のブティジェッジ氏。今月3日、アイオワ州で開かれた党員集会の初戦で下馬評をくつがえし、トップに並びました。

ブティジェッジ氏「私と一緒に想像しよう!トランプが大統領でなくなる初めての朝を!」

名門ハーバード大学出身で、特技はピアノ。地方都市の市長時代には、アフガニスタンで従軍。同性愛者であることを公表していて、夫である男性と抱き合う姿も。

ブティジェッジ氏とトップを争うのは、上院議員のサンダース氏。

サンダース氏「トランプという史上最も危険な大統領を倒す必要がある!」

大学授業料の無償化などを掲げ、78歳の高齢でありながら、若者に絶大な人気を誇っています。

初の女性大統領を目指すのは、ウォーレン氏。

ウォーレン氏「私たちの民主主義を守りたい。私たちの国を守りたい」

富裕層への大規模増税など、改革を訴える知性派です。

オバマ政権で副大統領を務めたバイデン氏は…

バイデン氏「トランプ政権が8年も続けば国が変わってしまう」

その知名度から、最有力候補とみられていましたが、アイオワ州の初戦では、まさかの4位に低迷しました。

11人が乱立する民主党候補者選び。今後、各州で選抜が進み、正式な候補者は、7月の党大会で決まります。

一方、迎え撃つ共和党のトランプ大統領は…

トランプ大統領「誰が一番強いんだ?ウォーレンか?頭のおかしいサンダースか?バイデンか?ブティジェッジか?我々は圧勝する!すべての民主党候補を倒す!」

強気な姿勢で、再選を狙っています。戦いの火蓋が切られた大統領選。11月の投票日まで、行末が注目されます。


【日本テレビ国際部・滝沢早織記者による解説】

いよいよトランプ大統領の対抗馬を決める戦いが始まりました。それでは、民主党の有力候補をもう一度おさらいしましょう。現在、先頭集団にいる4人の特徴を簡単にまとめました。

一番右の保守派のトランプ大統領に対し「大学無償化」を掲げるサンダース候補や「富裕層への増税」など格差の是正を公約に掲げるウォーレン候補は「急進左派」と呼ばれています。

一方で、「分断ではなく結束」を訴え、世代交代をキーワードに掲げるブティジェッジ候補と、「経験と知名度」を最大の武器とするバイデン候補は「中道穏健派」とされています。

今回、初戦のアイオワで「急進左派」と「中道穏健派」のどちらがより多くの支持を集めるかが注目されてました。


――そして、今、僅差でブティジェッジ氏がリードしているという状況なんですね。

ただ、実は、集計のトラブルで、最終的な集計結果が発表されていない状況です。もしかしたら集計のやり直しということになる可能性もあるのですが、現時点では、得票数1位はブティジェッジ氏、僅差で2位がサンダース氏、3位がウォーレン氏、4位にバイデン氏となっています。


――集計がやり直しとなると、また、人手もかかりますし、時間もかかって、周りの人も気が気じゃないですよね。そして今回、アイオワの集計結果がとても注目されていますが、それは、どうしてなのですか?

全米50州のうち、アイオワが一番最初に党員集会が行われるからということもあるんですが、これまで民主党では、過去20年間、アイオワでトップになった候補が最終的に党大会でも指名を獲得していて、そのため、アイオワでの勝利は今後の選挙活動を大きく左右するといえるんです。


――そんなアイオワでリードしているブティジェッジ氏が、どんな人なのかとても気になりますが…

ブティジェッジ氏は、まだ38歳。ほかの有力候補が70代なので、ひときわ若いんです。そして、このまま勝ち進んだら42歳で就任したセオドア・ルーズベルト大統領の記録を塗り替えて、史上最年少の大統領となります。さらに、同性愛者であることも公表していて、もし大統領になったら、初の同性愛者を公表している大統領となります。


――ただ、30代となると、かなり若いんじゃないかという声も出てきそうですよね。

確かに、サウスベンドという中西部の地方都市で市長を務めていた経験があって、実際、経済を立て直したという実績もあるんですが、国政の実績がないことから不安視されているのも事実です。

一方で、73歳のトランプ大統領やほかの高齢の候補者にないフレッシュさ、若々しさ、そして「世代交代」をアピールして存在感を高めているんです。


――そこに期待している市民の方も多いわけですね。そして、こちらは、党員集会が行われている様子ということですが、一見、いったい何をしているのか、わからないんですが…

党員集会というのは州に登録した党員が地元の体育館や教会などに集まって、あの候補者がいい!あの政策がいい!というようにどの候補者が大統領にふさわしいか、主張、議論し合う場なんです。


――一般市民が、候補者について熱く議論するというのは、日本ではあまり見ない光景ですね。

はい。そして、このようにひととおり議論したあと、各自が支持する候補のエリアに移動することで支持を表明し、その人数がカウントされます。アイオワ州ではこのような集会が約1700か所で開かれて、各会場の結果が集計されます。


――集計の結果、その州での順位が決まるんですね。

はい。こうした選抜が今後、他の州でも順次行われていって、最終的に7月の民主党大会で党としての正式な大統領と副大統領候補が決まるんです。


――広いアメリカでここまで、議論をして決まるということにびっくりしました。

「話し合いで決める」アメリカの民主主義らしさが出ているといえます。ただ、党員集会のように一堂に会して話し合うというのはあまりにも大変なので、代わりに投票所を設置して、支持する候補者を投票する「予備選挙」をおこなう州も多いんです。


――こうした長いプロセスを経て、トランプ大統領に対抗する野党候補が決まるんですね。

そのトランプ大統領といえば5日、弾劾裁判で正式に「無罪」を勝ち取って、ますます弾みをつけています。

――大統領はずっと弾劾裁判は「魔女狩りだ」などと自らの潔白を訴えていましたよね。

無罪評決を受けて、演説もおこないまして、「地獄を見た、不当だ、何も悪いことはしていない」と振り返りました。ここ半年ほど全米のメディアも国民も、この弾劾裁判の話で持ちきりでした。


――アメリカの人たちにとっては政治ってかなり身近なんだなという印象を受けますね。

確かにそうですね。政治を題材にしたブラックジョークも多いですし、ホワイトハウスを舞台にした映画などもよく作られていて国民の関心は高いんです。

【the SOCIAL viewより】