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五輪イヤーの都知事選「東京の顔」は誰に?

2020年1月3日 12:40

2020年、いよいよ東京オリンピックが7月24日に開幕する。日本選手団が何個のメダルを獲得できるのか、熱戦が期待されるが、その直前に、東京では、もう1つの熱い戦いが繰り広げられるかもしれない。

それは、小池知事の任期満了に伴う東京都知事選挙。6月18日告示、7月5日投開票で行われる。

オリンピック・パラリンピックの開催都市である「東京都の顔」は果たして誰になるのか? 注目の都知事選までおよそ半年となった。

現職の小池知事は、東京オリンピック後を見据えた都政の長期戦略ビジョンを策定するなど、再選・出馬に意欲を示している。

また、都知事選を見据え、自民党の実力者や公明党幹部との“協力関係作り”にも余念がない。

2019年12月24日のクリスマスイブには、自民党本部に二階幹事長を訪ねた。

旧知の間柄である二階幹事長は、かねてから“小池氏支持”を公言している。

更に、その3日後の27日には、公明党の山口代表のところにも極秘で出向き、政策や政治情勢などについて意見交換したものとみられる。

こうした小池知事の動きについて、都庁幹部は、「直接、口には出さなくても都知事選の時には、応援よろしくね、という意味だ。再選に向けて、支持基盤を固めようとしているのではないか」と分析する。

一方、小池知事と対立する自民党都連も対抗馬の擁立を急いでいる。

2019年12月18日には、都議会自民党が開いた会合に安倍首相が参加したほか、下村選挙対策委員長や都連の鴨下会長も出席。また、23日には都内のホテルでパーティーを開き、都知事選への結束を確認した。

自民党都連の幹部は、「都知事選には必ず候補者を擁立する」「パフォーマンスと混乱しかない小池都政は、信頼に値しない」などと、対決姿勢を鮮明にしている。

ただ、候補者については、参議院議員の丸川珠代氏や、スポーツ庁の鈴木大地長官、男性ニュースキャスターらの名前が浮上するものの、本命候補は固まっていない。

小池知事に勝てる有力な対抗馬を擁立できるのかどうかが課題となっている。

一方、国民民主党や立憲民主党、共産党などは、前回の都知事選と同様に、「野党統一候補」の擁立を模索している。

東京都選挙区で参議院議員に当選した経験がある、れいわ新撰組の山本太郎代表の名前も取りざたされている。

各党がそれぞれの事情を抱え、対決の構図が見通せない中、注目されるのは公明党の対応だ。

国政では自民党と連立を組んでいるが、都政では小池知事と連携していて、「知事与党」と呼ばれている。

前回の都知事選で、小池知事は、およそ291万票を得て圧勝したが、3年半たった今、当時の「小池フィーバー」の勢いはない。

そのため、小池知事が期待を寄せているのが公明党で、過去の選挙戦などから、都内でおよそ70万票の固定票があるとみられている。

小池知事は、都議会で、私立高校の教育無償化など、公明党の政策を積極的に受け入れ、“関係強化”をはかっている。

公明党の支持母体である創価学会の幹部からは、「小池さんが『希望の党』を作った時にうちとの関係は悪化したが、今は政策を取り入れたりして、関係は改善した。次も小池さんでいいと思う」と、小池知事の再選を容認する意見が出ている。

一方で、「自民党が勝てる候補を出してこれるのか。候補者を見てから考えればいい」とも話している。

タレント出身の青島幸男知事以来、「人気投票」と例えられる東京都知事選。

各党は、政策の中身よりも、知名度最優先の“有名候補”にこだわり、出馬表明も「後出しジャンケン」が定番となっている。

そのため、政策論争が深まらず、耳障りのいいキャッチフレーズや、批判合戦が目立つ選挙戦が繰り返されてきた。

オリンピックイヤーの今年、「東京都の新たな顔」を選ぶ都知事選では、東京オリンピック・パラリンピック後の東京をどうしていくのか、「人気投票」ではない、本質的な政策論争が求められている。