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空き家問題に一石投じる「0円不動産」とは

2019年12月3日 19:49
空き家問題に一石投じる「0円不動産」とは

空き家問題に一石を投じる取り組みが注目されている。その名も「0円不動産」。どんなものだろうか。

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東京、豊島区の商店街にあるレトロなお店。看板には「とんかつ」の文字。中に入ると、畳の部屋には布団が敷かれていて、別の部屋では外国人観光客がおもてなしを受けていた。実はこの場所――

株式会社シーナタウン・澤田剛治さん「とんかつ屋のご主人がお亡くなりになられた事をきっかけに、ずっと空き家になっていまして、それを私たちがゲストハウスとして、こちらを運営しております」

トンカツ屋だった建物を改装し、宿泊施設として活用していた。

インドネシアから来た観光客「部屋も畳があるし、日本のライフスタイルを経験したくて、この場所にしました」

フランスから来た観光客「部屋もキレイで、日本スタイルだからね」

池袋駅から一駅の椎名町駅という便利な場所で、昭和の雰囲気を感じられると、外国人観光客に人気だという。

いま、こういった空き家の活用方法が広がりを見せている。倒壊の恐れや、景観を損ねる一方、税金で解体されるケースもあるなど、全国で深刻な問題となっている空き家。少子高齢化などによる人口減少で年々増加し、総務省によると、去年、848万9000戸と過去最高となった。

そういった中、驚きの方法で、空き家問題に一石を投じる取り組みが。こちらは北海道旭川市で、今年5月にオープンした「甘酒専門店」。この店舗も元は空き家。

コージージューススタンド・畠尾司店長「(Q:この物件はいくらで手に入れた?)実は0円で取得させていただきました」

なんと「0円」。空き家を無償で譲り受けたという。物件の費用がかからなかった分、麹の製造室や店内の内装にこだわる事ができたという。

畠尾店長「この時代に0円で提供してくれる方がいるんだと驚きがありました。その分、経費にあてられたのが一番魅力的な部分ですね」

この物件の持ち主だったのが、札幌市の経営コンサルタント・中村領さん。

0円都市開発・中村領代表「数百万、場合によっては大きい建物だと数千万円、解体費用がかかる。解体した所で使い道があるかというと、なかなか見いだせない。なのでどなたかに譲って使ってもらえるのがいいかと」

そこで中村さんは、物件を譲りたい人と、探す人をつなぐ「0円不動産」のサービスを始めた。全国の「タダで物件を譲りたい」という情報をインターネットに掲載している。

このサービスは反響を呼び、この日は、南富良野町の男性から物件提供の依頼があった。

蔵の持ち主・黒田實さん「こんな事をして置いておくぐらいなら、欲しい人がいればあげてもいいなという気持ちになった」

持ち主は「もう利用する事がない」という、築100年以上の「蔵」。しかし、価値はまだ十分あるという。

0円都市開発・中村領代表「建物の前に車が何台も連なって通る様子が見えるので。観光のついでに寄って、お茶を飲んだり、和菓子を食べたりする所に使っても面白いですけど」

使われなくなった建物に命を吹き込む0円不動産。空き家問題の解決策の1つとして注目されそうだ。