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カムチャツカ半島“火山の博物館”で見た物

2019年11月22日 5:52

ロシア極東に位置するカムチャツカ半島。「火山の博物館」と呼ばれるほど多くの火山があり、いまも活発な活動が続いている。そのカムチャツカ半島にカメラが入った。

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ロシア極東カムチャツカ地方の中心地、ペトロパブロフスク・カムチャツキーは豊富な水産資源を背景に漁業の町として栄えている。太平洋に面し、約20万人が暮らしている。

市場をのぞくと新鮮な魚やイクラが所狭しと並んでいる。カラフトマスの頭はスープにするとおいしいそうだ。とくにスモークサーモンは種類が多く、中国、韓国、日本などに輸出されている。

カムチャツカ半島にはおよそ300の火山がある。ビリュチンスキー火山はその美しい姿から、「カムチャツカの真珠」と呼ばれている。ヘリコプターに乗り上空から眺めると、山々が連なる雄大な風景が続いている。

「カリムスキー火山」は標高1486メートル。活動は極めて活発で、今も激しく噴煙を上げている。また「マールイ・セミャチク火山」には噴火でできたカルデラ湖があり、青みを帯びた乳白色の水をたたえている。他にも2000メートルから3000メートル級の美しい火山が散在しており、まさに「火山の博物館」となっている。

ヘリコプターはカルデラ湖のひとつに降り立った。雄大な自然の迫力に圧倒される。クロノツキー自然保護区の山道を下ると、間欠泉の白い煙が上がっている。

マグマの活動は活発で、熱い泥水が沸き上がり、まるで溶鉱炉のようだ。噴煙を上げる間欠泉は観光名所となっている。また至る所で温泉がわき、ゆったりと体を休める人々の姿が見られる。

ヒグマが出没するため銃を持ったガイドとともに行動する。半島南部のクリル湖には、秋になると大量のサケが遡上(そじょう)する。そのサケを求めて、ヒグマが出没する。湖面が波立つほどのサケが集まり、最も強いクマが一番良いところを占拠する。

今年はサケの遡上が少なく、ヒグマ同士の争いが絶えないそうだ。子熊のために必死に獲物を狙う母熊の姿を見ると、自然の厳しさと親子の愛情に心を洗われる。

カムチャツカには100を超える少数民族が暮らす。そのひとつ、コリャーク人の歌と踊りには、自然と共に生きる人々の思いが凝縮していた。

動物、植物、太陽、海と山、そして光。手つかずの自然が残るカムチャツカは間もなく長い冬の眠りに入る。