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地方創生の鍵は「関係人口」

2019年11月7日 15:15
地方創生の鍵は「関係人口」

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「地方創生 進むか?」。ローカルベンチャー協議会事務局の山内幸治氏に話を聞いた。

今年6月、政府は重要政策と位置づける地方創生について、2期目の総合戦略の策定に向けた基本方針の案を決定した。基本方針には、AIなど最先端技術を活用した社会の実現や、ボランティアなど継続的に地域と関わる人「関係人口」の拡大などが盛り込まれている。


「地方創生」についてネット上では…

「税制改正などを通じて本気で取り組むべき」
「地方だと配偶者の仕事がなかなかない」
「5Gなどの通信インフラ整えば地方創生進むか」

などのような意見があった。


――山内さんのご意見をうかがいます。フリップをお願いします。

「関係人口ビッグバン」です。

地方創生では一般的に、各自治体が人口動態、要は人口が減ってしまっている状態をどう改善していけるか、そういうことを柱にすえられることが多くあります。ただ一方で、日本全体で人口減少は進んでますので、ある意味で人口の取り合いゼロサムゲームになりがちなんです。

一方でこの「関係人口」という考え方は、1人の人がいくつもの地域と関わりを持ちながら、一緒にその地域のための活動をしていこうと、そういう考え方ですので、ある意味で青天井というか、様々な可能性を持ってます。

私たちの周辺でも、実際に例えば副業・兼業の解禁というのは昨年度、ひとつのトレンドとしてありましたけれども、そういったことをきっかけにして、地域と関わりを持ちたいというような人たちもかなり増えています。

他にもサテライトオフィスなんかも今、多くの企業さんが地域でやっていこうという動きはあります。さらに震災の影響などもあり、若い人たちの間に、豊かな暮らし方とはどういうことなのかを求める意識が生まれています。

この「関係人口」という取り組みは、一過性のブームではなく、働き方改革や、意識の変化、ICTの推進など、そういった流れの中で、今後ますます広がっていくと思っています。


――山内さんが取り組まれている中で「関係人口」が増えたという事例というのはありますか。

私たちの取り組んでいる協議会でも、実際に地域で事業をやっていきたいと将来思っている都市部の方々を対象に様々な地域でのフィールドワークというものも、これまで40回ほどやってきています。

その中で、そのフィールドワークがきっかけになり、宮城県石巻市の牡鹿半島という半島で取り組んでいる団体があるんですけども、そこに関わるようになった外資系のITの社員の方がいます。彼は通いながら、その半島部の中で、例えば半島部というのは非常に交通の便が悪いですので、いろんな送電網だったりとか、そういったものの点検に人手がかかるんですね。そういったものをドローンを使ってメンテナンス・点検をしていくような仕組みを、その団体の事業として新しくやっていけないかとかですね、そういったことを遠隔で関わりながら、今、構想を練ってくれていたりとか、そのような動きも生まれてきています。


――関係人口が増えれば、また、どんどん魅力もあがっていくことになりますね。

大事なことは、地域の中だけのリソースでやるのではなくて、様々な知見を持ってる人とか、地域に関わりを持ちたいという人たちが増えていますので、いかにそういった力を地域として取り込んでいけるかというのが今後の地方創生の鍵になると思います。

【the SOCIAL opinionsより】