×

緊迫イラン情勢 最前線の革命防衛隊に密着

2019年10月4日 5:29

先月行われた国連総会で、緊迫するイラン情勢が大きなテーマとなった。対立するアメリカとイラン。その最前線でカギを握る“ある組織”を取材した。

     ◇

アメリカ・トランプ大統領「平和を愛する国々にとって、安全保障上の最大の脅威の1つがイランだ」

イラン・ロウハニ大統領「我が国の領域の安全を脅かせば、断固として対応する」

アメリカとイランの対立が改めて浮き彫りとなった国連総会。期待された首脳会談は実現せず、依然、緊張が続いている。

緊張が続く最前線が中東・ホルムズ海峡。中東の石油を世界へ運ぶ重要な輸送ルートで、日本が輸入する原油のおよそ8割はこの海峡を通過する。

しかし、付近では6月に日本の会社が運航するタンカーが襲われる事件も起きている。こうした中、トランプ政権は海峡の安全確保のため、有志連合構想を提唱。日本政府も参加するのか、決断を迫られている。

一見、平和に見えるホルムズ海峡だが、タンカーの乗組員を直撃すると、ある変化を口にした。

原油タンカーの乗組員「少し変化がある。外国やイラン軍の船がいる」

取材中にも、高速で移動する正体不明の船に遭遇した。

案内してくれた漁師は、「革命防衛隊が常に海峡周辺をパトロールしている」と話した。

7月以降、ホルムズ海峡周辺でイギリスの石油タンカーなどを相次いでだ捕したイランの革命防衛隊は、世界の注目を浴びた。

革命防衛隊は、イラン軍とは別の軍事組織で、最高指導者ハメネイ師直属の“精鋭部隊”。ホルムズ海峡で漁をするイランの漁師も守っている。

漁業関係者「外国の船が魚を取って困っていたが、今は革命防衛隊が防いでくれる」

今回、特別に革命防衛隊の取材が認められた。外国メディアの単独取材は異例のことで、同乗する兵士を撮影しないなどの条件で、パトロールに使うボートに乗ることができた。

日本製のエンジンを改良したというボートは、時速60キロあまりで疾走する。必死にしがみつくそのそばには銃が─。

さらに、私たちのボートをすごいスピードで追い抜いていくボート。向かった先にあったのは、革命防衛隊がだ捕したあのイギリスの石油タンカーだった。

革命防衛隊のボートが、周辺を警戒するように、タンカーの周りを回っていた。

ホルムズ海峡で活動を活発化させる革命防衛隊。元司令官はこう警告する。

イラン革命防衛隊・カナニモガダム元司令官「ホルムズ海峡の安全を守る責任は革命防衛隊にある。敵国アメリカと協力するなら、日本も敵と見なすことになる。そうならないことを願う」

出口が見えないアメリカとイランの対立。平和な海はいつ戻るのだろうか。