“計画運休”も駅に長い列…混乱防ぐには?
大規模な停電のきっかけとなった台風15号が上陸した9日、首都圏の駅では、長い人の列ができるなど混乱が見られた。災害時の計画運休はどうあるべきなのか。19日、国土交通省に鉄道各社が集まり検討会が開かれた。
千葉県習志野市にあるJR津田沼駅。普段この駅を利用して通勤している浅田さんは、台風15号が関東を直撃した今月9日の昼過ぎ、ある動画を撮影していた。
先が見えない程の長蛇の列。なかなか前に進まない列に沿って歩くこと約5分。その列は、ほとんど途切れることなく続いていた。
JR津田沼駅を利用、浅田一休さん「津田沼駅自体は10年近く使っていますが、見たことがなかったので、びっくりしましたね」
結局、津田沼駅では、午後1時半頃まで入場規制が続いた。
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台風15号によって、都心でも猛烈な風が吹いた9日未明。JR東日本はこの前日、首都圏の在来線で、始発から運転を見合わせると発表。あらかじめ運休を決める「計画運休」だった。
JR東日本が運転再開の見込みとしていたのは午前8時。しかし、実際にはほとんどの路線で運転再開できず、山手線は午前10時すぎまで、中央線快速が午前11時ごろ、京浜東北線が再開したのは、午後3時すぎになってからだった。
JR東日本は、こうした事態に備え、前日に計画運休を発表した段階で、線路などに被害が確認された場合は運転見合わせが続く可能性や、運転が再開しても大幅に本数が減る可能性を合わせて発表していた。
浅田一休さん「“8時まで運転見合わせ”でそこから先の情報は入ってなかった。そこ(8時)以降は普通に動いているものだろうなという感覚で」
JR東日本、市川東太郎常務「台風の影響がおさまる見込みと、雨風がおさまる実際の時刻が遅くなった」
台風が通過する前に、被害を正確に予測するのは難しいと言う。
市川東太郎常務「(線路に)飛来物がないか倒木がないか確認したうえで、安全だと、安全に運行ができるということになるので。被害が大きなところはその処置の時間があるので、それぞれの線区で 運転再開の時間も延びた」
このような事態を受け、国土交通省では19日、検討会を開催。全国の鉄道会社が集まり計画運休についての今後に向けた課題などが話し合われている。
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一方で、この混乱をある取り組みで乗りきった企業もあった。社員70人が働いているIT企業のオフィス。
JR線を利用する社員「(9日は)自宅で仕事しました」
9日は、ほとんどの社員が「出社しなかった」という。社長に社内SNSの書き込みを見せてもらうと…。
前日の8日、社員に「午前のテレワークの取得」を呼びかけていた。実はこちらの会社、普段から出社せずに自宅などで勤務する“テレワーク”を推奨していて、台風以外に豪雪や猛暑のときにも選べるようになっている。
アステリア・平野洋一郎社長「混乱をするところに行って時間やエネルギーを無駄にするのではなく、快適なところで仕事をしましょうと」
台風当日。実際に出社したのは、会社の近くに住む7人のみ。しかし、業務に支障はなかったという。
平野洋一郎社長「日々環境を整えてすすめることで、こういったことへの対応性が非常にあがると今回実感しましたし、ぜひ他の会社も取り組んで頂きたいと考えています」
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今回の計画運休についてJR東日本は…。
市川東太郎常務「発表する(見込みの)時間というのは、非常に難しいなと実感しました。運転を再開してもすぐに平常の運転はできないというのもお知らせしていましたが、なかなかうまくいかなかった」
利用者に対する情報発信の仕方について、今後も検討を重ねるとしている。