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“戦争知らない世代”の陛下、平和への思い

2019年8月23日 12:58
“戦争知らない世代”の陛下、平和への思い

終戦の日の「全国戦没者追悼式」に即位後、初めて出席された天皇陛下。かつて陛下は「沖縄の言葉」を用いて平和を訴えられたことがあります。その思いの原点とは。

令和初の終戦の日――

「終戦以来74年、多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、誠に感慨深いものがあります」

上皇ご夫妻は、広島、長崎の原爆の日、終戦の日、そして、沖縄戦終結の日を“忘れてはならない4つの日”としてご家族で黙祷をささげられてきました。とりわけ沖縄への思いは深く、陛下も幼い頃から、沖縄のこどもたちと交流されてきました。

県民の4人に1人。約20万人の命が失われた沖縄戦。戦後も、皇室に対する複雑な県民感情が残っていました。1975年、上皇ご夫妻の沖縄初訪問では、火炎瓶が投げられる事件も。そんな中、陛下は沖縄に心を寄せ続けられ、現地への訪問がようやく実現したのは、1987年のことでした。

糸満市にある国立沖縄戦没者墓園。激しい地上戦の舞台となった場所です。この時、説明役を務めた新垣さんが当時を振り返ります。

記者「ものすごく深く(お辞儀され)」

新垣さん「そうですね」「非常にこう、緊張しておられるなと」

多くの女子生徒が命を落としたひめゆりの塔では、生き残った方から話を聞き、非常に厳しい表情を見せられました。戦争の無い時代に生まれたかったと言いながら死んでいった女子生徒たちの話に息をのまれたといいます。

初めて沖縄の激戦地を巡った夜。陛下は「沖縄の人々は先の大戦を通じて、ヌチドゥタカラ(命こそ宝)の思いをいよいよ深くしたと聞きましたが、この平和を求める痛烈な叫びが国民全ての願いとなるよう切望しています」と感想を発表されました。

沖縄県遺族連合会会長・宮城さん「沖縄でヌチドゥタカラというのは、普通に言われている言葉でしたから、天皇家も戦争に対する考えが人一倍強い気持ちをもっておられると思いました」


ヌチドゥタカラ、命こそ宝である。反戦平和運動のスローガンにもなった沖縄の言葉。それを陛下が使われたことに、県民は驚いたといいます。

そして今年、日本武道館に集まる戦没者遺族たち――

「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、ここに過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い――」

上皇さまから受け継いだ、初めての戦没者慰霊で平和への思いを伝えられた天皇陛下。来年は戦後75年の節目を迎えます。


【the SOCIAL viewより】