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アメニティーがピンチ 資生堂撤退で品薄に

2019年7月19日 20:54
アメニティーがピンチ 資生堂撤退で品薄に

ホテルなどに置かれている「アメニティー」だが、資生堂がアメニティー事業から撤退したことで、品薄になるなど影響が出ているという。シャンプーやボディーソープなど、宿泊先にあると便利なアメニティー。今、ホテルなどではどう対応しているのだろうか。思い切った対策に乗り出すメーカーなどを取材した。

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■ネットも反応「ないと困る」「持ち込みにすれば」

東京都心の高層階にあるホテル「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町」。旧「赤坂プリンスホテル」の跡地に建てられ、系列の中でも最上級で、宿泊料金は71万2800円の部屋もある。その、豪華なシャワールームに用意されていたのは、スウェーデンの香水ブランドのアメニティーグッズ。

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町 ロビーサービス担当・米本哲治さん「ラグジュアリーな空間に合った高級感のある香りのアメニティーをそろえ、お客さまをおもてなししたいと思う」

しかし、このアメニティーを巡って、今、混乱が起きているという。これまで大きなシェアを占めてきたという資生堂が去年の年末、アメニティー事業から撤退。大量の注文が他のメーカーに殺到し、アメニティーが品薄になったという。メーカーなどでは生産が追いつかない事態も。

このニュースはネットでは大きな反応があった。

ネットの反応「利益出ないなら撤退するわ」「無くなったら困る!」「持ち込みにすればいいのに」


■夏の旅行シーズン目前、アメニティー品薄の影響は?

今年3月、東京・銀座にオープンした、ホテル向けに販売されているアメニティーのアンテナショップ「庵GINZA」。石けんやあぶらとり紙など、日本らしいアメニティーが外国人観光客にも人気だという。店を経営するのはホテルなどにアメニティーを販売する会社。品薄の影響を受けたという。

庵GINZA・中島千尋店長「容器の先のポンプの部分が何十万個も品薄になってしまい、アメニティー不足に陥りました」

一時、ホテルへの納期が大幅に遅れたということだが、海外メーカーなどから商品を仕入れることで供給できるようになっているという。

アメニティーについて街では…。

女性「よく忘れて行っちゃうことがあるので、化粧水とかそろってるとありがたい」

男性「シャンプーは必ず使うし、ボディーソープも使いますし」

一方、こんな声も。

女性「(宿泊の)値段がそれ(品薄)によって上がるなら、(アメニティーが)ないっていうのもありかな」


■工場増設・方針変更など…メーカーの決断は?

アメニティーの生産は追いついているのだろうか。全国のホテルで使われるアメニティーのメーカー「メディカルスペース」を訪ねた。一つ一つ手作業で容器に詰められるアメニティー。品薄の影響で、作業は急ピッチで行われていた。

メディカルスペース・難波勝也専務「資生堂のシェアというのがかなり大きいので、そこが一つ抜けるということは、かなり大きいダメージになる」「やはり徐々に在庫の方は切れ始めてきているという状況になってきてる」

品薄を受け、大きな決断をしていた。

メディカルスペース・難波勝也専務「まだ(生産が)追いついていない状況なので、弊社としても新しい工場を増設する形で対応」

なんと工場を増設することに。これまで1日10トンほどだった生産量が、倍となる20トンほどに増える見込みだという。年内に完成する新しい工場では、シャンプーなどを作る釜もこれまでの3倍以上大きなものにし、増産に備える予定だ。

品薄の影響で経営方針を変えた会社もある。今年8月でアメニティーの生産を停止する予定だった「ウテナ」。無償で配布されるアメニティーは利益が少なく、販売するグループ会社の閉鎖が決まっている。しかし、品薄でニーズが高まる中、販売を請け負いたいという会社が現れ、ほとんどのアメニティーの製造を継続することにした。

東京五輪に向け、今後一層高まるホテル需要。メーカーや販売店の思い切った対策で、事態を乗り越えようとしている。