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南海トラフ巨大地震 防災対応ガイドライン

2019年3月29日 10:18
南海トラフ巨大地震 防災対応ガイドライン

甚大な被害が想定される「南海トラフ巨大地震」が起きる可能性が高まった場合にどのような防災対応をとるべきか、国が自治体などに向けたガイドラインをまとめた。地域の特性に応じて避難する地域をあらかじめ定め、対象エリアにある学校は「休校」を検討することなどを盛り込んでいる。

「南海トラフ巨大地震」は、静岡県から宮崎県沖までの広いエリアで起きるマグニチュード9クラスの超巨大地震で、最悪の場合、32万人の死者が出ると想定されている。

国は29日、地震発生の可能性が高まった場合に自治体や企業などがどのような対応をとるべきかを示したガイドラインを公表した。

すでに、南海トラフの震源域でマグニチュード8以上の大きな地震が起き、気象庁がほかの地域にも連動する可能性があると発表した場合には、地震が起きてからでは津波からの避難が間に合わない地域の住民や避難に時間がかかる高齢者などは、念のため1週間程度避難する必要があるという方針が示されているが、ガイドラインでは、避難できる施設の数や高齢者の割合など、地域の事情や特性に応じて市町村ごとにあらかじめ避難する地域を定めるよう求めている。

対象エリアにある学校は、子どもの安全のため「休校」などの対応を検討するとしている。また、土砂災害が起きやすいエリアに住む人や耐震基準を満たしていない家屋に住む人も、避難を検討するよう指摘している。

一方で、企業に対しては経済への影響を最小限に抑える狙いから、「できる限り事業を継続することが望ましい」とし、鉄道についても運行することを前提に「津波などへの対応に必要な体制をとる」ことを求めている。

これに対し、マグニチュード7程度のひと回り小さい地震が起きた場合や、地下のプレート境界で「ゆっくりすべり」と呼ばれる異常な動きが観測された場合には、家具を固定するなどの日頃からの備えを再確認するよう呼びかけるにとどめ、避難などは促さない方針。

ガイドラインの公表を受け、南海トラフ巨大地震で被害を受ける可能性がある市町村などは、それぞれの地域に応じた防災対応をこれから1年かけて検討していくことになる。