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がん検査の最前線「血液」や「尿」で発見へ

2019年2月4日 19:21
がん検査の最前線「血液」や「尿」で発見へ

これまで早期発見が難しかったがんでも、簡単に手軽に受けられる検査で見つけようという、新たな研究が進められている。使用するのは「血液」や「尿」。進化を続ける、がん検査の最前線とは。

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東京・港区にある「おかだスマイルクリニック」。こちらでは、がんの検査が短時間でできるという。なんと採血だけで終了した。これによって、すい臓がんのリスク検査を行うことができる。

すい臓は、胃の後ろにある長さ15センチほどの細長い臓器。食べ物の消化を助けたり、血糖値を調節したりする役割がある。

しかし、奥まった場所にあることや自覚症状が出にくいことなどから、がんになっても早期発見が難しく、「暗黒の臓器」とも言われている。

おかだスマイルクリニック・岡田慶吾院長「症状が出た時にはかなり進行していて、治療が後手に回ってしまうことが多く見受けられます」

そんな発見が難しいすい臓がんのリスクを、短時間で検査できるという。採血された検体はカナダの会社に送られ解析される。

調べるのは、すい臓がんに至る過程で減少するとされる、血液中の長鎖脂肪酸。結果が出るのは3週間から4週間後。低・中・高と、リスクが3段階で表示される。ただ、すでにがんになっているのかどうかは確定できないため、必要に応じて精密検査を受けてほしいという。

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一方、簡単な検査ですい臓がんを発見できる、新たな技術も研究が進められている。

千葉県がんセンター肝胆膵外科 石毛文隆医長「遠心分離をして“尿”のいらないものを除去します」

尿からすい臓がんを調べる研究が行われていた。なぜ尿に着目しているのだろうか。

千葉県がんセンター食道・胃腸外科 星野敢主任医長「検尿の容器さえ手元にあれば、ご家庭で採取して、検査のできる施設に郵送するということが可能になるかと思います。そういった簡便さが魅力だと感じています」「体に対する痛みが伴わないことも、尿の採取のメリットの一つ」

調べるのは、尿から抽出された透明な液体、マイクロRNAを含んだ溶液。マイクロRNAという物質は、人間には、およそ4000種類あるという。

これを解析すると、すい臓がんの人は特定のマイクロRNAが多く検出されるのだという。今はまだ80%ほどの的中率。実用化に向けては、最低でも90%以上の数字が必要だという。

千葉県がんセンター食道・胃腸外科 星野敢主任医長「(実用化までは)短ければ5年、長ければ10年以上。根気よく、この研究を続けていく他はないと思っております」

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血液や尿を使った新たな検査。ことし中の実用化を目指しているところも。

検査機器を製造する京都市の「島津製作所」では、血液を使ってがんを調べる手法を開発したという。検査でわかるのは、がんの中で最もかかる人が多い「大腸がん」。

神戸大学などと共同で研究したのは、血液中のアミノ酸などを調べ、現在、大腸がんになっているかどうかを検査する方法。研究段階では、96%以上の的中率だったという。去年、京都市内のクリニックで検証試験を行い、現在は結果を分析しているところで、できるだけ早期の実用化を目指しているという。