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障害者雇用“水増し問題” コーヒー休憩を

2018年10月24日 16:17
障害者雇用“水増し問題” コーヒー休憩を

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「障害者雇用 省庁の意識の低さ浮き彫り」。世界ゆるスポーツ協会代表の澤田智洋氏に話を聞いた。

中央省庁の障害者雇用“水増し問題”、第三者検証委員会の報告によると、国税庁や国土交通省など28の国の行政機関で3700人の不適切な算入があった。

政府はこの問題をめぐり、来年度中に法定水準に達するよう来年2月頃に障害者を対象とした筆記試験を行い、約4000人を新たに採用する目標を掲げた。

その上で、採用後の障害者が働きやすいよう非常勤での採用後に常勤職員になれる「ステップアップ制度」などを導入するとしている。

ネット上ではこんな意見が見られた。

「民間だったら罰則金。この責任は誰がとるの」
「どの仕事も一律採用は難しい」
「政府の対応策も実効性があるのだろうか」


――この話題について澤田さんの意見をフリップに書いていただきました。

「まずはコーヒーを飲もう」です。

来年末までに障害のある方を4000人雇用するというのは相当スピーディーだし、逆にいうと暴力的な感じがするというか、ただ単に数を満たすことが目的になっている気がします。障害者雇用というのは、すごく難しいのでそんなに簡単にいかないのではと思います。ですので可及的に速やかに課題解決をしなくてはいけないというのは大事なんです。

でも、ちょっと待とうと、ちょっとワンブレイク、コーヒーを飲みましょうと。そのときにおすすめのコーヒーショップがあります。私、昨日行ってきたのですが、千代田区にある「ソーシャル グッド ロースターズ千代田」というコーヒーショップがあるんです。

ここは障害のある方が働いている就労継続支援B型事業所というものとカフェが一体になっている場所なんです。ですので手前がカフェスペースなんですが、奥では障害者が作業をしているんです。

その作業というのはコーヒー豆の選別です。いわゆる質の悪いコーヒー豆を丁寧に選別して除去しているんです。これ、すごく良かったのはオープンキッチン感覚なカフェだったんですよ。つまり、僕らがコーヒーを飲むときって、割ともう完成に近い状態で出されるじゃないですか、その手前の手前の分別状態を同じ空間で共有できると目の前で飲んでいるコーヒーがものすごくおいしく感じるんです。

それってなんか、障害のある方たちの価値だなって思ったわけです。特に知的障害、発達障害の方は、すごく集中力が高い方が多いので(モニターに映し出されている)この2人もずっと黙々と作業をしているわけです。

それって僕には“祈り”に近い作業に思えたんですね。すごくなんか、雑念とかを取り払って目の前にある作業に集中して、世の中の魑魅魍魎(ちみもうりょう)をはねのけるような…。つまりそういう作業を見ながらコーヒーを飲むとものすごく縁起が良いように思えるというか、ですのでぜひ、省庁の方はワンブレイクとって、ここに来て、障害のある方の価値とは何だろうとかそういったことを考えるといいのではと思います。


――単純に数字的な解決ではなく、根本的なものへのアプローチにつながるかもしれませんね。

そうですね。義務で解決するのではなく、どうやって彼らを戦略として生かしていくかという発想の転換が必要だと思います。

【the SOCIAL opinionsより】