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石から紙や容器をつくる?素材革命に挑戦4

2018年10月23日 18:08
石から紙や容器をつくる?素材革命に挑戦4

TBM代表取締役CEOの山崎敦義氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。4つ目のキーワードは、「新素材の食品容器で海洋汚染対策に貢献する!」。プラスチックに代わる“夢の素材”、実用化はどこまで進んでいるのか。


■“石”からコップやスプーンをつくる


――今年はスターバックスやマクドナルドなどのグローバル企業が深刻な海洋汚染に対応するため、プラスチック製ストローの使用をやめるなど、世界的に動きが活発になっています。山崎さんの会社では 今年から、プラスチックに代わる石で作った食品容器や食器の開発に力を入れているそうですね。

はい、こちらに現物があります。ちょっと触ってみてください。


――軽いですね。これはもうプラスチックと変わらないですね。普段使っているスプーンやコップですね。

そうですね。紙のLIMEXと一緒で、従来のプラスチックと変わりなく使える素材を開発しています。これも石灰石を主原料にして、植物由来の樹脂を混ぜ合わせて、生分解性のLIMEXを開発しています。


――紙に続き、今度はプラスチックの代わりということですが、環境面への影響はどうでしょう。

石油の使用量を圧倒的に抑えることができるので――ようするに100%石油由来でできてたものを、安価で豊富な石灰石に代えています。そのまま海に入るようなことがあっても主原料の石灰石というものは元々、海の中にあったようなものなので問題ないだろうということで、僕たちは海洋汚染の問題にも大きく貢献できると思っています。さらに石油使用量も価格も抑えて、エコノミーとエコロジーを両立させると思っています。


■世界中から熱視線


――プラスチックの海洋への流出も問題になっていますが、そういう部分にも新しい一歩にもなりますよね。

そうですね。今は、海外からも何百という問い合わせをいただいています。それに対して貢献していけるような開発を進めていって、早く世界中に広めていきたいなと思っています。


――実際に商品化をしていくにあたって、どんな課題がありますか。

石灰石を主原料にするので、食品衛生法などをクリアしていくための開発をしています。あとは通常のプラスチックと同じように、今まで加工していた機械をそのまま使えるように、どんどんレシピをためていっています。生分解プラスチックのほうも、年内には1つか2つは製品化できそうなメドはたってきています。


――課題だった重さやコストなどもクリアできていると。

そうですね。僕らは通常のプラスチックと同じような価格帯で、使っていただけるようにしていこうと。その軽さの部分も解決していくために開発は進めています。


――実際にいろんな店で、これを使っているところを目撃したり、実際に使うようなことがどんどん増えていきそうですか?

世界中でそれをみなさんに触っていただけるように、頑張ろうと思っています。


――コストが安くなっていくと、発展途上国だとしてもどんどん普及していくということになりますよね。

そういう国で役に立っていかなければダメだと。日本のように回収の仕組みがしっかりと整っているような国よりも、インフラが整っていないような国がたくさんあるので、僕らのLIMEXは大きく貢献できると思っています。そこで使ってもらうというのは、僕らにとって大事なことです。


■仕事とは何か?


――将来の夢はいろいろあると思いますが、何がありますか。

とにかく今は、このLIMEXを世界中に広めて、資源の枯渇に大きく貢献していきながら、世界中に産業と雇用を生んでいくと。そんな挑戦を実現していって、一緒に戦ってくれている仲間と一緒に感動したいと、そういうのが一番にあります。


――山崎さんにとって、仕事とは、また社長とはどういうものでしょう。

仕事というのは、僕にとってはとにかく挑戦し続けるものであり、挑戦し続けながら自分を成長させてくれるかけがえのないものであり、大きな挑戦を続けていく中で、解決できないことを色んな人との出会いの中で、解決させていただく――その人たちといろんな挑戦をやって、ハードルを乗り越えていったり、時には挫折していきながら、たくさんの思い出をつくらせていただけると。僕にとっては挑戦し続けながら、自分を成長させて、いろんな思い出をたくさんつくらせてくれるものだと思っています。


――非常に人生観が詰まった商品だといえますね。

実際に、いろんな企業の方々とか、いろんな人にご支援いただいて、応援していただいてここまで来ました。本当に思い出が詰まっているんですよね。