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“療養中でも出席に”ICTで変わる学び方

2018年10月5日 15:53
“療養中でも出席に”ICTで変わる学び方

世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「情報通信技術で学びが変わる」。日本テレビ社会部・井田雅子記者に聞いた。

鳥取県・米子市の小学校――教室のロボットから元気な声が聞こえてくる。

「こんにちは!」

この声の主は、学校から離れた病院に入院している杉岡佳来さん(6)。この日は、タブレットを使って教室にいる分身ロボットを操作し、音楽の授業に参加していた。


――井田さん、ロボットを使って授業に参加しているんですね。

そうなんです。この小学校では、入院中で学校に通えない子どもが分身ロボット「オリヒメ」を使って授業に参加するという取り組みを行っているんです。オリヒメはタブレットの端末を使って操作できて、手を振るとか、頭を動かすなどの動作もできて、頭に付いているカメラを通して、教室の様子はよく見えるし、音声も伝えることができるんです。


――では本当に、その教室でみんなで授業を受けている感覚になれるということですね。

そうなんです。そういったことが経験できるんです。

さて、ここでクイズです。この子どもは義務教育段階の小学生。病気のため自宅で療養していますが、オリヒメなどの情報端末を使って授業に参加して、発言もしていました。さて、この子ども、学校的には出席か欠席か、どういう扱いだと思いますか。


――会話のやりとりもしているので「出席」になるんじゃないでしょうか。

正解です!でも、これまでは実は欠席でした。理由は、先生が子どもの側にいないことから、子どもが授業の内容をどこまで理解しているかを学校側が評価できないことが原因だったんです。しかし先月、オリヒメに限らず、双方向型の情報端末を使用して、先生が子どもの理解度をチェックできるなどの要件を満たした場合は、出席扱いにすると制度を変更したんです。

そこで今日は『技術の進歩で多様な学び方へ!!』と書きました。最近小学校や中学校でもコンピューターの活用はどんどん進んでいます。教育現場からは、技術を活用することで、むしろ個性を尊重した個別的な学びができるという声も上がっているんです。

佳来さんのお母さんも、この取り組みのおかげで、早く友達に会いたいと、つらい治療にもがんばるきっかけにもなったし、元気も出たと言っているんですね。日本には優れた技術があるんですから、それを生かして、どんな状況にある子どもでも等しく、望む教育が受けられるような社会になっていってほしいと思います。


■井田雅子記者(45)プロフィル
日本テレビ社会部記者。国土交通省担当時代は三菱のリコール隠し事件を取材、最近は、文部科学省の担当記者として、STAP細胞問題などの科学や教育を中心に取材を行っている。

【the SOCIAL opinionsより】