×

全社員に出社義務なし テレワ極める会社3

2018年8月20日 17:15
全社員に出社義務なし テレワ極める会社3

シックス・アパート株式会社・代表取締役の古賀早氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。2つ目のキーワードは、「社員が全株式を買い取り 親会社から独立」。大企業の傘下からの独立、そこにはどんな思惑があったのか。


■「EBO」を選んだ背景


――「社員が全株式を買い取って親会社から独立」…これはどういうことなんでしょうか。

先ほど少し話しましたが、これは「EBO(Employee Buy-Out)」という名前なんですが、「従業員企業買収」という形の独立の方法です。これを採った理由は大きく3つあります。

1つ目は、大きな企業グループの中にいたときに、中小企業であれば不要な企業特有のルールなどを守るために、かなりの管理コスト・工数などがかかっていたんです。コンプライアンスやセキュリティーというのは中小企業にも必要だと思います。ただし、大企業基準でやると、30人の企業には非常に大きなお金がかかっていたんです。

もちろん子会社ですので、業績で判断されます。そうなってくると管理コストは上がる中、常にコスト削減は考えなければならない。そうすると本業にかけるお金が少なくなってしまうんです。それが1つ目です。


■「オーナーシップを持たなければ続かない」


2つ目は、元々サンフランシスコに本社があったITの会社で、外資系で自由な雰囲気を体現した会社でした。だから社員のみなさんが、そんな大企業の働き方にあまりなじめなかったのかという部分がありました。

3つ目は、そういう状況でしたので、最悪、事業撤退や会社解散みたいなことも、可能性はあったのかもしれませんが、我々は、日本でナンバーワンのシェアを持っているので、数万社のお客さんがいるし、それを支えている300社の代理店が全国にいます。その方々とのビジネスを続けていきたい、支援していくためには、独立して、自分たちでオーナーシップを持って仕事をしていかないと続かないんじゃないかというところがありました。そこで「EBO」がベストの独立の方法じゃないかと考えて、今にたどり着きました。


■非常に多くの社員が賛同


――「EBO」とは働いている人が株を買うということですよね。社員の方々の反応はどうだったのでしょう。やはり負担になりますよね。

ちょっとびっくりされましたが、まず(独立の)話を社員にできるのが、親会社との交渉が決まってからなんです。それが6月でした。独立は6月30日と決まっていましたので、1か月くらいしかなかったんです。独立するからには、新たな軒先というか、新たな親のところにいったのでは意味がないので、自分たちで会社を持ってみようよということに関しては、非常に多くの方に賛同していただいたので、この「EBO」が成功したのかなとは思います。


――さきほど、買い取りの時に写真を撮られたという話もありましたが、やっぱり大企業の傘下にいたほうが安心のような気持ちは、みなさんなかったのでしょうか。

ほとんどいなかったんでしょうね。先ほど話した3つの「EBO」の中のどれかに、みなさんが含まれていて、何かしらの葛藤があって、これだけ多くのお客さんを持っていますので、そのお客さんに喜んでいただく方法として、独立することが寄与するのであればと思った方が多かったのかなと思います。