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「イカがいねぇ」“記録的不漁”いつまで?

2018年8月7日 18:44
「イカがいねぇ」“記録的不漁”いつまで?

ここ数年、不漁が続くスルメイカ。価格も高騰し、イカの産地では悲鳴があがっている。私たちは北海道のスルメイカ漁船に同乗し、その実態を取材した。

いけすから網ですくってその場でさばいてでてきたのは…スルメイカのお造り。透き通った身が新鮮な証し。この活イカをお目当てに北海道・函館市の店まで来たという観光客は思わずニッコリ。

観光客「なかなかこんな新鮮なのは食べる機会ありませんので、歯ごたえから風味も違いますね」

この日の活イカのお値段はなんと2000円。それでも利益は出ないという。

海光房・三ツ石和人店長「うちの看板商品ですので、入荷した時は本当に利益を度外視して、イカは販売するつもりでおりますね。毎日。不漁は不漁です」

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いま店を悩ませるスルメイカの“不漁”。6月の水揚げ量をみてみると、10年前の303トンに対し去年は96トン。今年はそれをさらに下回る31トンと、実に10年前の10分の1にまで落ち込でいる。このため、生きたイカの値段は3割から4割ほど値上がりしているという。イカ漁をはじめて40年のベテラン漁師も頭を抱えている。

漁師・若松淳一さん「捕れてない。捕れてない。早くやめるもの。早くやめるもの何か月も早く」「(Q漁の終わる時期が?)終わる時期が」

去年は不漁のため2か月も早く終えたというイカ漁。夕方に出る漁に同行させてもらった。午後6時、イカ釣り機が動き出し漁を開始。しかし、漁が始まって30分がたってもイカはまだほとんど捕れていない。

それからさらに30分、ようやくイカの姿が見えたものの…ごくわずか。漁が始まって7時間。イカが釣れるようになったのは午前1時を過ぎてからだった。

若松淳一さん「きょうの漁?ぱっとしないね。この辺みんなぱっとしないわ。みんなだめって言ってた」

この日の水揚げは約400キロ。20年前の4分の1だという。

若松淳一さん「簡単だ。イカがいないんだよ。津軽海峡に入ってくるイカがいないんだよ。ただそれだけ。あまり期待は持てないね。期待は持てません」

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今後の漁の見通しがたたず不安の声があがっている。イカの不漁の原因について専門家は-。

函館水産試験場・有馬大地さん「産卵する時期の海洋環境があまりよくない状況が続いているんじゃないかといわれています」

スルメイカが産卵する海水温が不安定になっていることがひとつ。

有馬大地さん「(イカが)全体的には少なくなっているとは思います」

函館水産試験場は今月以降も不漁が続き、今シーズンの水揚げは過去5年間の平均を下回ると予測している。

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イカを加工業者に卸している会社にも影響がでている。

天海・西谷憲夫社長「加工屋さんとか珍味とか塩辛とか、とてもじゃないけど(採算が)合わない状況になって、値上げもできる状況ではないので、じゃあ敬遠するっていう」

実際、こちらの工場では元々イカを加工する機械で現在は塩辛味のスナック菓子を製造。“イカ離れ”が懸念されている。

庶民の味として親しまれてきたイカ。不漁が続き“高級品”になってしまうのだろうか。