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法科大学院が減少、背景にある“不安”とは

2018年7月30日 15:34
法科大学院が減少、背景にある“不安”とは

世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「法科大学院 ピーク時から半減」――弁護士で、資格試験対策のオンラインサービス「資格スクエア」を運営する鬼頭政人氏に聞いた。

弁護士や裁判官、検察官などの養成を目的として、2004年に作られた法科大学院だが、その数は減り続けている。先月にも、横浜国立大学や近畿大学、西南学院大学が法科大学院の学生募集を来年度から停止すると発表した。

文部科学省によると、全国にある法科大学院は、ピーク時には74校あったが、半数以上の38校が募集を停止する事態となっている。


――鬼頭さん、フリップをお願いします。

はい、「法律家∞(無限大)」と書きました。こうした法科大学院がピーク時から半減しているという状況ですけれども、端的には、受験生、法科大学院に入りたい人が増えていないと。むしろピーク時の10分の1以下になっているんですけど、そういうのが原因かと思っています。じゃあなんでこのように受験生が減ってしまったのかということを私なりに整理すると、原因は2つあるかなと思っています。

ひとつ目は、法律家になっても食べられないんじゃないかという不安を抱いている方が各種報道とかを受けて、非常に多いのかなと感じています。もうひとつは、当初、法科大学院を卒業すると、80%程度の人が受かるという法曹制度改革の触れ込みだったわけですが、現状では25%程度の人しか受からないということになっています。こういう状況から、法科大学院にいっても受からないんだったら、2、3年の期間をかけても時間と費用が見合わないんじゃないかということで、法科大学院を受ける人が減っていると考えています。

この原因について私なりに考えますと、法律家が食べられないというのは、各種報道で言われていることではありますが、私が弁護士として活動している実感としても、私の周りの弁護士を見ても、食べられないという弁護士の方は見たことがなくて、正直、そういう方がどこにいるのかなと思う状況です。

現実としては、法律家は十分に食べられていると思いますし、これは従来型の法律業務に限った話でもそうなんですが、例えば最近ですと、AIとかドローンとか、あるいは仮想通貨とか、そういった最新の分野に関しては、新しい法律ができていきますので、そういう分野について、若手の弁護士が専門分野として切り込んでいくことで、十分に活動範囲を広げていくことができるんじゃないかと思います。


――どんどん目指す人が増えて欲しいですね。

そうですね、「法律家∞」とは、法律家の活躍範囲が無限大という意味と、法律家をもっとたくさん増やしましょうよという意味で書きました。


■鬼頭政人プロフィル
資格試験対策のオンラインサービス「資格スクエア」を運営。開成中学、開成高校、東京大学と進み、慶應義塾大学・法科大学院にて司法試験に一発合格。弁護士事務所に勤務したのち、投資ファンドを経て、2013年に「資格スクエア」を創業した。


【the SOCIAL opinionsより】