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地元就職の壁 「選択できる情報」を若者に

2018年6月29日 18:08
地元就職の壁 「選択できる情報」を若者に

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「地元に就職する?」。斬新でユニークな取り組みで地元の地域活性化を進める長野県塩尻市職員・山田崇氏に聞く。

就職情報などを提供するマイナビが、2019年3月に大学を卒業予定の学生に調査をしたところ、最も就職したい都道府県と卒業した高校の所在地が一致する、いわゆる「地元就職希望割合」は、全国平均で50.8%だった。この8年で12.5ポイント減少しているということだ。

「もし実現すれば、地元で就職するかもしれないこと」として最も多かったのは、「働きたいと思う企業が多くできる」。次いで、「給料が良い就職先が多くできる」となっている。


――山田さん、塩尻市では何か工夫されているのでしょうか? フリップに書いていただきました。

「都会も地域も関係ない」。これから“人生100年時代”と言われているじゃないですか。80年働くとすると、ずっと同じ仕事をやるということが、ほぼなくなるんじゃないかなと思います。

ですので、いま若者たちの選択肢が増えてきていると思っています。地元就職希望割合が12.5ポイント減少したということですが、逆の見方をすると、自分の生まれ育った地域から出て挑戦してみたいという若者が増えたんだと、私は前向きにとらえています。


――では、これは健全なことだと。

いいことだと思います。それだけたくさんの情報に若者がアクセスできるようになってきているので、自分の生まれ育ったところから、例えばニューヨークやアフリカ、日本国内であれば離島とかで挑戦したいという若者がいます。

「子どもが生まれたときには、自分の生まれ故郷で育ててみたい」、「いずれは地元に帰ってみたい」というときに、例えば市役所とか私たちが、「こういった面白い社長さん、企業があるんだ」といった、ちゃんと選択できる情報を若者たちに伝えなければいけないと感じました。


――塩尻市にとっては、みんな出て行ってしまっては困るわけですよね。

私はすごく幸せなんですよ。塩尻市役所の仕事もすごくやりがいがありますし、生まれた場所でちゃんと仕事があって、そこで働けるって本当に幸せだなと思っています。地元に帰ってみたいと希望する若者がいるのであれば、私はおすすめします。

働き場所がないと確かに暮らしていけないので、働くとか暮らすとか教育・子育てなど、ちゃんと選択できる情報を若者たちに伝えていかなきゃいけないなと私は思います。

ぜひ私を頼ってくれれば、塩尻の面白い社長さんや取り組み、実践型インターンシップとか塩尻市役所のインターンシップなど、そういったことをどんどん紹介しますので、興味がある人は塩尻も挑戦する1つの地域として選んでいただければいいなと。だから、いま(データを)見ていてワクワクしましたよ。


――もう山田さんご自身が、塩尻市の広告塔みたいな感じですよね。

そうですね。ちゃんとした職員もたくさんいますので、そういった職員も紹介できますよ(笑)。


■山田崇氏プロフィル
長野県塩尻市職員。大学時代に“ナンパ”で培ったコミュニケーション力を生かし、地元の地域活性化に取り組んでいる。商店街の空き店舗を活用し、様々なイベントを仕掛けるプロジェクトを立ち上げるなど、斬新でユニークな取り組みは“公務員らしくない公務員”と全国から注目を浴びている。


【the SOCIAL opinionsより】