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東京近郊の相模川で10倍!アユ豊漁のワケ

2018年6月21日 19:52
東京近郊の相模川で10倍!アユ豊漁のワケ

塩焼きにしてもおいしいアユ。これから、まさに旬を迎えようとしている。実は今年、神奈川県を流れる相模川で例年の10倍以上のアユが釣れているという。釣り人の間からは驚きの声が上がっている。

◆相模川でアユに異変!?

これから旬を迎える、天然アユの塩焼き。相模川で解禁したばかりのアユを炭火でじんわり焼き上げた逸品だ。このアユに、今年はある異変が起きていた。

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このアユがとれた相模川では、21日、アユ釣りをする約150人の姿が。

釣り人「(アユが)すごい多いと思います。歩いていても、すごいキラキラしているのが見えるし」

異例の豊漁となっているアユ。そのワケとは?

◆アユ釣り大会、2時間で29匹!

神奈川・相模原市で21日に開催された、アユ釣りの大会。数多く釣った人が優勝となる。あちらこちらで、次から次へとアユが釣れていく。前半戦で早くも10匹釣ったという男性は、思わず笑顔。

参加者「(アユの)量は多いね。すごい多いです」「小さいのが群れでわーっとのぼっていくのが見えるくらいなので、結構多いと思います」

そして迎えた計量。参加者全員のアユを集めた箱には、数多くのアユが敷き詰められていた。優勝した男性は、2時間で29匹を釣りあげた。これは去年の優勝者の1.5倍だという。

主催者は──

がまかつファングループ・関東地区本部長 平井幹二さん「(アユが)今年は特に、例年の平均の約10倍。川中がアユであふれているという感じですね」

調査を開始して以来、一番の豊漁で、4600万匹以上遡上(そじょう)しているという。

◆異例の豊漁、理由は「海」に?

異例の豊漁の訳は、川がつながる相模湾にあった。大磯港の漁師が話したのは“ある魚の減少”。

湘南定置・代表取締役 辻井将さん「例年だとアジが(月に)5~6トンで、だいたい今年だと5分の1くらいに減っちゃって」

実は、このアジなどの激減が豊漁のアユと関係している。冬に相模湾で成長するアユ。アジやサバなどは、そのアユの稚魚をエサにしている。通常はほぼ食べられてしまい、生き残るのは1%に満たないほど。しかし、今年は黒潮の影響でアジなどが減少。天敵が減ったことで、生き延びるアユが増え、相模川へと多く遡上している。

◆“うれしい悲鳴”の一方で、頭を抱える人たちも…

“アユ豊漁”でうれしい悲鳴を上げる人がいる一方で、“アジの減少”に頭を抱える人たちも。ある店では、看板メニューにもかかわらずアジの仕入れがしづらい状態になり、料理を出せない日もあるという。

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アジの仕入れ値は6割ほど高騰しているが、価格は上げずに提供しているという。