eスポーツ、オリンピック競技に? 課題は
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「eスポーツ、オリンピック競技に?」。東洋経済オンライン編集長・山田俊浩氏に話を聞いた。
「eスポーツ」とは「エレクトロニック・スポーツ」の略称で、コンピューターゲームを競技として行うものだ。その「eスポーツ」が今年の夏にインドネシアで開かれる「アジア競技大会」のデモンストレーション競技として開かれる。サッカーゲームの「ウイニングイレブン」をはじめ、オンライン対戦ゲームの「リーグ・オブ・レジェンド」など6つのゲームが行われる。
次回大会で「eスポーツ」は、正式にメダル競技となるほか、IOC(=国際オリンピック委員会)も「eスポーツ」をオリンピック競技にすることを検討するとしている。
ネット上ではこんな意見が見られた。
「テレビゲームはスポーツじゃない」
「ワールドカップのような別の大会を作れば」
「『ゲーム=不健全』というイメージは変わるだろう」
――この話題について山田さんの意見をフリップに書いていただきました。
「慌てないで!!」です。
やはりゲーム業界にとっては健全なものとして扱ってもらうという意味ですごく悲願なんですよね。こういった形でスポーツとして扱われるということを、かなり前から求めてきたことなのですが意見は分かれています。
特にスマホとかが普及する中で、中毒の問題やオンラインゲームでも起きている間中、オンラインゲームをやってしまうなど色々な問題点や疑問が解消されていないなかで、ある意味、ロビイングなんですが、オリンピックの正式競技になるためにいまものすごい勢いで各団体が前のめりでこういった活動をしています。
しかし世論がついてこないとしょうがないと思うので、ゆっくりと裾野をまず広げることと、中毒とかそういったものに関してなんらかのリミッターというか、そういったことを業界をあげて啓蒙活動(けいもうかつどう)などをやっていくことが大事だと思います。
あと先ほどのネット上の意見でもありましたけど、何もオリンピックの競技にしなくても、ひとつの独立した大会として運営していくことは十分できると思うんですね。
例えばエアレースなんかが典型的ですが、なかなかこれ費用もかかるので大会としてやるのも難しいと思われていたのですが、ちゃんとしたスポンサーがつくことでいま非常に人気競技として普及しています。
モータースポーツもそうですが、これはある意味、スポーツそのものではあるもののオリンピックの競技ではないですがちゃんとモータースポーツというのは世界大会として様々な競技が成り立っています。
それと同じで「eスポーツ」もオリンピックに入れ込むということを目的とするのではなくて、ひとつの独立した国際大会としてどうやってやっていくかということが大事だと思います。目的がオリンピックに入ることだと、かなり優先されてしまっているのがいま気になるところです。
――悲願ということで、認められたいという気持ちが強いということもあるんですかね。
あと日本独自の問題として、高額賞金というのが認められるのかということも議論としては残っているわけです。「eスポーツ」が大きく注目されるのは賞金が高額ということもあります。
一獲千金ということではYouTubeなんかでもその競技のもようが報じられていますが、子どもたちからしてみたら大好きなゲームでこれだけ稼げるんだと、ひとつ夢にはなっていますが、賞金が億単位と高額すぎるということもありますので、そういった健全性のリミットをどうはめるかという議論がまだまとまっていません。
しかし、なぜかこういうものは前のめりで進みがちなんですが、あとになって問題が起きてしまうとブレーキがかかってしまうのでゆっくりやってほしいと思います。
【the SOCIAL opinionsより】