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日中の思惑は…李首相を“異例”のもてなし

2018年5月12日 1:17

日本を訪問していた中国の李克強首相が帰国の途についた。今回、関係改善を前面に打ち出した日本と中国にどのような思惑があったのか。横田記者の報告。

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帰路につく李首相を見送る安倍首相。多忙なスケジュールをぬって李首相の北海道訪問日程に最後まで同行した。異例とも言えるもてなしには、中国が関係改善の意思を示したタイミングを逃してはならないという強い思いがにじんでいる。

安倍政権は、拉致問題の解決にむけ北朝鮮に影響力をもつ中国に協力を仰ぎたいとの思惑がある。このため、習近平政権の看板政策「一帯一路」にもさらなる協力姿勢で臨むことを約束し、中国側の顔をたてた。

安倍首相「全面的な関係改善を進め、日中関係を新たな段階へと押し上げていきたい」

これに対し、李首相も踏み込んだ形で応じた。

李首相「今はまさに、波風が過ぎ去って晴天があらわれはじめました。今回の私の公式訪問により両国関係は正常な軌道に戻った」

関係改善には日本の努力が必要だとけん制してきた姿勢から一転し、「正常な軌道に戻った」と明言した。

背景にあるのは、アメリカをにらんだ戦略。貿易摩擦で制裁の応酬によるつばぜりあいが続き、朝鮮半島情勢では水面下で綱引きを繰り広げるなか、アメリカと連携してきた日本をたぐりよせる狙いがあるとみられる。

国際情勢が大きく動くなかで一致した両国の思惑。首脳往来にむけた本格的な関係改善に大きな弾みとなりそうだ。