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ワーク・スマートで「人生のCEOに」 1

2018年5月1日 18:19
ワーク・スマートで「人生のCEOに」 1

キーワードを基に様々なジャンルのフロントランナーからビジネスのヒントを聞く「飛躍のアルゴリズム」。今回はグーグル日本法人専務執行役員CMO兼アジア太平洋地域マネージングディレクターの岩村水樹氏。「ワーク・ハード」な会社をやめて留学した経緯を聞く。


■岩村水樹氏のプロフィール


東京大学教養学部を卒業後、電通に入社。マーケティング・コミュニケーション戦略の策定、実施に携わった後、スタンフォード大学でMBAを取得。戦略コンサルティングファーム、ラグジュリーブランドのCEOなどを経て、2007年グーグルに入社。以来、ワーキングマザーとしての経験を生かし、女性の活躍を支援するプロジェクト“Womenwill”に取り組み、「ワーク・スマート」という本も出していて、雑誌フォーブスの「世界で活躍する日本女性55人」に選出されている。


■24時間戦えます。から、ワーク・スマートに


――それでは、1つ目のキーワードです。『24時間戦えます。から、ワーク・スマートに』。岩村さんはバブル時代に大手広告代理店に入社されたということですけれども、「ハードワーク」が美徳とされる時代ですよね。どんな毎日だったんですか。

とても景気も良くて、広告代理店に入ると本当に若手の社員でもどんどん仕事を任されるんですね。そういう意味では、みんながずっと毎日毎日、夜遅くまで楽しく、ある種働いていました。それが当たり前になっていました。さらに夜9時、10時ぐらいまで働いた後に、ではっていうので夜の街に繰り出すと…。まさに「ワーク・ハード」、「プレー・ハード」。ハードに働いてハードに遊ぶという時代だったかなと思います。


■自分の可能性を広げてみたい


――その後、留学されたんですけれども、何がきっかけになったんでしょうか。

「ワーク・ハード」、「プレー・ハード」という時代、まさに「24時間働けますか」というキャッチコピーというのが非常に象徴的な時代だったのですが、とても楽しかったんですね。どんどん仕事も任せていただけるし、若い頃は自分のアイデアが形になるってすごくワクワクするじゃないですか。そんな感じでずっと働いていたんですけれども、ふと気がつくと、この先ずっとこのペースで働き続けていても自分の将来の可能性って広がるのかなというふうにちょっと思ったんですね。それが4~5年目ぐらいで、せっかくなので、自分の将来の可能性…例えば、日本という枠組み以外のところでも働けるような可能性というのも広げてみたいなというふうに思ったのがきっかけで留学をしました。


■1回リセットして、違う環境に


――でも当時、広告代理店はすごい人気企業でしたし、なかなか会社をやめて留学したり転職する人ってそんなに多くなかったですよね。そこで決断をするのっていうのは、かなり大きな判断だったんじゃないですかね。

もともと飽きっぽい性格というところもありますし、ワーク・ハードをしてきたおかげで、どんどんその当時は仕事をやってきて、段々と働き続けているだけだと、やっている仕事に慣れが出てきちゃうんですよね。新鮮味がなくなってしまうと。ちょっと1回リセットをして、全く違う環境に身を置くということが、自分の将来の可能性とか、学習曲線を上げていくんではないかなというふうに思ったので、いってみようかというふうなことになりました。


――誰かに反対はされなかったですか。

反対はいろいろあります。それこそ本当に会社に反対されて、非常に社員思いだったというふうにいってもいいのではないかなと思うのですが、戻って来るという道もつくってくださって、その上で留学をしたんですけれども、結局行ってみたら、意外に戻っている場合ではないということで、面白くてそのまま違う道をどんどん歩き続けているという感じになりました。


――留学がまさに転機になったということですよね。その留学後ですが、数々の会社でキャリアを重ねられまして、第1子を出産後にグーグルへ入社されました。グーグルといえば「働きやすい企業ランキング」で2年連続1位になるなど、働きやすさには定評があるかと思うのですが、そのグーグルでも女性の働き方改革は、必要だったということなんですよね。