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手繋ぎ、2人きり…南北首脳の歴史的一日は

2018年4月27日 22:02

27日、初めて顔を合わせた北朝鮮の金正恩委員長と韓国の文在寅大統領は、融和ムードを強く打ち出した。約40分間にわたり、2人きりで話し込む場面が全世界に生中継で伝えられる異例の展開。“歴史的な一日”の両首脳を追った。

◆2人きりで、約40分…

27日午後4時半ごろ、大勢の警備をともない北朝鮮の金正恩委員長を乗せた専用車が現れた。韓国の文在寅大統領と共同で、板門店の軍事境界線付近に記念の木が植えられる。朝鮮民族に好まれるという松の木にかけられたのは、南北の土だ。

北朝鮮・金正恩委員長「平和と繁栄が、この木とともに大きくなっていくことを願う」

その後、2人きりで歩き始めた南北の首脳。板門店に設置された「徒歩の橋」をゆっくりと歩いていく。そして、橋の中程に用意されたイスに腰掛け、たった2人きりで事実上の首脳会談が始まった。

2人きりの時間は、約40分間続いた。

◆歴史的な一日の始まりは

北朝鮮と韓国を隔てている南北軍事境界線。歴史的会談の当日、板門店は静けさに包まれていた。

先に到着したのは韓国の文在寅大統領。午前9時半前、ついに北朝鮮側の施設「板門閣」から金正恩委員長が姿を現した。文大統領も軍事境界線へと歩みを進める。そして…

北朝鮮・金正恩委員長「お会いできてうれしいです」

韓国・文在寅大統領「来られるのに大変ではなかったですか?お会いできてうれしいです」

軍事境界線を挟み、南北の首脳が握手を交わした。その時、世紀の瞬間を見ようとソウル駅に集まった韓国の人々からも、喜びの拍手と涙があふれた。

◆ついに軍事境界線を…その時“サプライズ”が

午前9時29分、文大統領に促され、ついに軍事境界線をまたいだ金委員長。北朝鮮の最高指導者が、初めて韓国側に入った歴史的瞬間だった。

歩み出そうとする文大統領を呼び止める金委員長。この時、こんなやりとりがあった。

韓国・文在寅大統領「私はいつ(軍事境界線を)越えられるだろうか」

北朝鮮・金正恩委員長「それでは、今、越えてみましょうか」

今度は、手をつないで両首脳が北朝鮮側へ。金委員長のサプライズ演出だった。

◆遂に歴史的会談が始まる

遂に始まった南北首脳会談。その冒頭に…

北朝鮮・金正恩委員長「歴史的なこの場所まで11年かかった。これまでのように、いくら良い合意や文言が発表されても、しっかり履行されなければ、こういう出会いがあっても期待を抱いた方々に むしろ失望を与えることになるのでは」

温和な表情ながら、「合意をするなら、韓国側がしっかり履行する必要がある」とけん制を忘れなかった金委員長。

一方の文大統領は…

韓国・文在寅大統領「金正恩委員長が史上初めて軍事境界線を越えた瞬間、ここ板門店は、分断の象徴ではなく、平和の象徴になりました」

金委員長が韓国側に来たことを「平和の象徴」と持ち上げてみせた。

◆晩さん会も和やかな雰囲気に

また、晩さん会で、平壌の有名店による冷麺が出されることに金委員長が言及した際には、笑いが起こった。

北朝鮮・金正恩委員長「遠くから(冷麺を)持って来ました…。遠いと言ってはいけないね。おいしく召し上がっていただきたい」

和やかな雰囲気で始まった南北首脳会談。会談に先だって行われた両首脳らのやりとりも明らかになった。話題は、2月の平昌オリンピックで韓国を訪れ、今回も同席した金委員長の妹・与正氏にも及んだ。

韓国・文在寅大統領「金与正氏は韓国で大スターになりました」

この発言で大きな笑いが起き、与正氏も顔を赤らめたという。