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羽生選手が凱旋パレード 経済効果や復興は

2018年4月23日 20:19
羽生選手が凱旋パレード 経済効果や復興は

フィギュアスケートでオリンピック連覇の偉業を成し遂げた、羽生結弦選手。22日に地元の宮城県仙台市で祝賀パレードが開かれ、仙台の街が熱気に包まれた。

沿道に集まったのは、11万人近い人々。パレードの経済効果は?そして、復興にはどうつながるのだろうか。

■五輪ポーズを10回披露。大サービスのパレード

羽生選手のパレードは仙台市役所までの1.1キロを40分かけて進み、集まった人数は10万8000人にのぼった。背伸びをして手をふったり、沿道に向かって指をさしてファンをわかせたり、精いっぱい声援に応えようとする姿があった。そんな中でも注目は、オリンピックで見せたポーズ。全部で10回披露する大サービスぶりだった。

■11万人集まるとゴミ問題は

11万人が集まるとゴミが相当出るだろうと思い、仙台市は当日1000人近くのスタッフを置いてゴミ拾いにあたった。ところが、パレード直後の様子を警備にあたっていた人が撮影した写真からは、ゴミが全く落ちていない様子が分かる。羽生選手のファンが事前にSNSで「ゴミを拾おうね」と呼びかけあって、スタッフが拍子抜けするぐらいのゴミの少なさだったという。仙台市によると90リットルのゴミ袋が6つ程度しかなかったそうだ。

■オリンピックのパレードにかかる費用は

オリンピックのパレードといえば、ロンドンオリンピックの時、初めて日本選手団がそろって銀座をパレードし50万人のファンが集まった。4年後のリオオリンピックの時も行われたが、この2つは夏のオリンピック。冬のオリンピックではまだ選手団でのパレードはなく、個人レベル。

今年の平昌オリンピックのあとは、スノーボードの平野歩夢選手が地元・新潟でパレードを行ったほか、カーリング女子のチームは北海道北見市で、スピードスケートの高木姉妹は22日に北海道幕別町でパレードを行った。主にメダリストの地元の自治体が地域を活気づけようと主催するパターンが多い。

ただ、パレードはやろうといって簡単にできるものではない。今回の羽生選手のパレードに費用がどのぐらいかかったのか、まだ発表されていないが、仙台市は1億9000万円を想定していた。警備のスタッフ、バリケードの設置、問い合わせが殺到するのでコールセンターの設置、マスコミ対応のためのPR事務局を設置するなどスタッフは1800人を動員した。そのほかにTシャツなどグッズの制作費もかかった。


■「税金を使わないでほしい」羽生選手の思い

実は羽生選手、4年前にパレードの話があがった時には税金を使わないでほしい、お金は復興のために使ってほしいという思いから最初は辞退したそう。そこで話し合った結果、企業の協賛金や寄付金のほか、グッズの売上金をパレードの資金に充てようということになった。

今回は寄付金など約3800万円、Tシャツが22日時点で7万5000枚売れて約1億9000万円。記念のラバーバンドは1万セットが完売し売り上げは1000万円、合計で2億3800万円になった。仙台市によるとパレードの費用はこれでまかなえる見込みだという。泊まりがけで来る人や、飲食する人もいて地元への経済効果も見込める。

■羽生選手がのぞむ“被災地の復興”

羽生選手自身がのぞんでいるのは、被災地が復興して宮城・東北が活気づいてほしいということ。また羽生選手自身も今回、県や市に1000万円寄付している。

仙台市もそれに応えるように、まちの活性化に取り組んでいて、羽生選手ゆかりの地をめぐる観光コースを紹介している。例えば羽生選手や荒川静香さんのモニュメントがある国際センター駅。フィギュアスケート発祥の地といわれる五色沼。羽生選手が幼い頃トレーニングでよく来ていたという七北田公園。羽生選手の展示コーナーもあるアイスリンク仙台などを回るというコース。

■羽生選手が答える「高校生が夢をかなえるために必要なこと」

22日の羽生選手の記者会見で地元ならではの印象的な場面があった。実は最後に質問したのが、古川学園高校新聞部の山本一惇君(高校3年)だった。こんな質問をした。

山本君「古川学園高校、新聞部から来た山本といいます。様々なことに対してどんな心構えで臨めばいいかということに対してアドバイスしていただければと思います」

宮城県を代表する羽生選手が凱旋(がいせん)パレードに来るというので、ぜひ、高校生新聞でも取り上げたいと会見取材の申し込んだそう。山本君は勇気をふりしぼって「高校生が夢をかなえるために必要なことは何かアドバイスを」と質問した。

羽生選手「自分が人生を懸けて、自分の学校生活を懸けて掲げている大きな目標に関しては、それだけに集中することで、それがかなった時の喜びもものすごく大きなものになるので、何もおそれずに(夢に)懸けることをしてほしい」

山本君の所属する新聞部顧問の先生にきいてみると、山本君はものすごく緊張していて、高校生が元気になれる言葉をもらえて本当にうれしいと話していたそうだ。

羽生選手も子どもたちの力になりたいと、今回の会見でも何度も話していて、思いが伝わったパレードだった。秋からの新しいシーズンもぜひ活躍してほしい。