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妻が願った最後の「七日間」 夫の思いとは

2018年4月19日 17:38
妻が願った最後の「七日間」 夫の思いとは

新聞の投書欄に掲載された「妻が願った最期の『七日間』」という詩がSNS上で話題となった。詩をつづった男性の思いとは。

今年1月、小腸がんで亡くなった宮本容子さん。亡くなる直前、病床で容子さんが話した願いを夫の英司さんが詩に書き留めた。タイトルは「七日間」。その全文を紹介する。


神様お願い この病室から抜け出して
七日間の元気な時間をください

一日目には台所に立って 料理をいっぱい作りたい
あなたが好きな餃子や肉味噌(みそ)
カレーもシチューも冷凍しておくわ

二日目には趣味の手作り 作りかけの手織りのマフラー
ミシンも踏んでバッグやポーチ 心残りがないほどいっぱい作る

三日目にはお片付け 私の好きな古布(こふ)や紅絹(もみ)
どれも思いが詰まったものだけど どなたか貰ってくださいね

四日目には愛犬連れて あなたとドライブに行こう
少し寒いけど箱根がいいかな 思い出の公園手つなぎ歩く

五日目には子供や孫の 一年分の誕生会
ケーキもちゃんと11コ買ってプレゼントも用意しておくわ

六日目には友達集まって 憧れの女子会しましょ
お酒も少し飲みましょか そしてカラオケで十八番を歌うの

七日目にはあなたと二人きり 静かに部屋で過ごしましょ
大塚博堂のCDかけて ふたりの長いお話しましょう


神様お願い七日間が終わったら
私はあなたに手を取られ乍ら(ながら)
静かに静かに時の来るのを待つわ


52年間、人生を共にした妻・容子さんが逝き、悲しみの中、詩を残した理由。

宮本英司さん「何もなくなるのかと思うと、ちょっとさみしくて、みんなに覚えておいて欲しかった」

大学の同級生だった2人は25歳の時に結婚。

英司さん「一卵性夫婦みたいな関係。時にはケンカもしたけど私を一番よく分かってくれた」

2015年春、容子さんに小腸がんが見つかる。既に末期で、余命は約2年だと宣告された。

様々な治療をしながら体調が良ければ愛犬を連れ、夫婦で旅行に出かけた。

しかし、去年の夏頃から体調が悪化し、入退院を繰り返すように…

英司さん「病院でも意識がなく、ただ寝てるだけの日も、何回もあったのですが、生きてそこにいるだけで張り合いになっていました。どんな形でも生きていれば」

今年1月、英司さんにみとられながら容子さんは亡くなった。

英司さん「体を半分持っていかれた感じですね。容子の人生が終わったのがちょっと信じられなくて。みんなの記憶もだんだん薄れ何もなくなるのかと思うとちょっとさみしくて。みんなに覚えておいて欲しかった」

亡くなる直前、病床で容子さんの話した“願い”を「七日間」という詩にまとめた。この詩を新聞の投稿欄に送った英司さん。

夫婦の日常と生きる願いが素朴につづられたこの詩は、SNSで広がり、18万以上の「いいね」を集めた。悲しみと共に英司さんは容子さんを愛し続けている。

英司さん「いつまでも女々しいと思うが、(悲しみを)抜けるには、50年くらいかかるかなと。それまでは無理ですね」

【the SOCIAL lifeより】