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“奇跡のJ1”成し遂げた高田氏の手腕 3

2018年3月20日 14:19
“奇跡のJ1”成し遂げた高田氏の手腕 3

ジャパネットたかたの創業者でありV・ファーレン長崎の代表・高田明氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。3つ目のキーワードは「ジャパネット時代からこだわった“地元愛” 長崎県だからこそできる平和への発信」。高田氏の“地元愛”について聞いた。


■長崎に拠点を置いているワケ


――地方の企業が、東京や大阪といった都市部に拠点を移す傾向があります。しかしジャパネット時代から今まで長崎に拠点を置かれている、そのこだわる理由は何ですか。

それは魚がおいしいからです。現役のときからいっていたんです。イカがおいしいからって、イカが透明なんですよ。それで東京に来てみたら、ちょっと白く濁ってるんです。お客さんが佐世保に来られたときに、僕がイカのところにご案内したら、びっくりなさるんですよ。これもひとつの理由です。ジョークじゃなくてね。

だっておいしい海の幸に恵まれてお肉もおいしいし、ふるさとで同じ仲間と地方に雇用を生み出して、今はもうどこでビジネスをしても、インフラが全部できてるんですよ。だから東京に行く必要はないという、東京にも拠点はいっぱいありますけどね。


■V・ファーレン長崎がかかげる「平和」


――J1に昇格されてから、ある報道では「メッシ選手」の獲得への野望をお話しされたということですが、そういう気持ちもあるのでしょうか。

こんなのいったら怒られますよ。バカみたいなジョークをいうことも面白いじゃないですか。それはもう、ネイマールさんもこの前、移籍だけで300億近く…そんなことできるわけないんですけど。それぐらいの夢を描きながらサッカーを楽しめたらいいねというんですけれども。

でもちょっと僕はね、この第3のキーワードの中に「平和」という言葉がありました。V・ファーレン長崎は、背中にスポンサー名じゃなく“ユニセフ”と出てるんですよ。

これはスポンサー料をいただくのではなくて、3年間で1億ぐらい子供たちの支援のためのユニセフに義援としてお金を出し、それは何かといったら、長崎と広島は被爆の県で、世界で唯一原爆が落ちたところなんです。

だからどんなヨーロッパのチーム、バルセロナとか、レアル・マドリードとかであっても、長崎、広島くらいに平和を語れるクラブはないんですよ。

そういう部分につなげて、ユニセフという言葉と、今、戦争とか平和ではなくて「平和って何ですか」と聞いたら、70歳のお母さんを連れてサッカーを見に来た息子さんがね、母がめちゃくちゃ喜んで「私はこんな面白いのあるんだったら、まあ、長生きするわ」と言ったというのがツイッターか何かに載っていましてね、これが平和なんですよ。

行ったら次頑張ろうとお年寄りの方が思っていただいたり、子供があんな選手になりたいとか、そういう平和を発信する。そういうものをクラブだけではなくて、長崎県民の方、訪れる方、観光客の方にもそういう意思を表現していくことによって、平和を発信する素晴らしいクラブになる。

これがサッカーを野球のステージまで上げていくことになる。日本から世界に平和を発信することにつながっていくという、そんなことを思ってるんですけどね。


――すごく素敵ですね。子供たちが夢を持てる場所だったりとか、明日から頑張ろうと思えるものって、すごく大切ですよね。

やはり夢というのはすごく大事で、これは子供たちだけではなくて、70歳、80歳になっても夢は持ち続けるものだから、ここは本当に夢のあるスポーツクラブにできたらいいなと思っていますね。