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“被災者に寄り添って”災害FM閉局の理由

2018年3月12日 13:30
“被災者に寄り添って”災害FM閉局の理由

東日本大震災の発生から11日で7年になった。被災地には、被災者に寄り添った地域限定の災害FM局が、最も多い時期に、被災4県で30局あった。しかし、現在は3局を残すのみとなり、今月いっぱいで全て閉局になる。そのひとつ、岩手県陸前高田の災害FMを取材した。

岩手県陸前高田市。かつての市街地の上に大規模なかさ上げをし、新たな街づくりが進んでいる。陸前高田のFM局を訪ねた。この局は震災の年に設けられ、陸前高田周辺に限定した情報を伝えてきた。こうしたFM局は被災4県で一時30局あったが、今あるのはこの局も含め3局。しかし、今月で全て、閉局になる。

ここでは、地域に密着した生活情報をきめ細かく伝えている。

陸前高田災害FM責任者・金野由美子さん「(被災者が)生きるのに必要な情報を流すのがFMでは必要」「高田の情報、高田だけの情報がほしいというのもあったんじゃないか」

閉局の理由は復興が進んだため。陸前高田では市内最大の仮設住宅が今月で閉鎖される。

仮設住宅の入居者「7年もいるとは思わなかった。仮設から出たら第一歩」

その一方で、戸惑いの声も聞かれた。フィリピンから来た中名生ロザリンダさん。日本人男性と結婚し、震災前から陸前高田に住んでいる。今でも災害FMを聞いている。

ロザリンダさんは震災で自宅が全壊し、家族4人で災害復興住宅で暮らしている。日本語力が十分でなく、災害FMに助けられたという。

ロザリンダさん「タガログ語の言葉(放送)もあり、意味がわかるようになっている」

陸前高田災害FM責任者・金野由美子さん「(被災者が情報を)入手する手段がひとつなくなる。他の方法で情報を入手する必要がある」

震災直後から被災者が生きていくための情報を伝えてきた災害FM。こうした情報を今後どう伝えていくかという課題も残されている。