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“引っ越し難民”急増のナゼ…避けるには?

2018年3月2日 18:54

この時期に多い引っ越し。今年の春は、引っ越し業者の予約が取れず“引っ越し難民”と呼ばれる人たちが続出している。実際に引っ越しを断られたという女性や、引っ越し業界を取材すると、“引っ越し難民”が相次ぐ背景にはいくつもの理由があることが分かった。

◆“引っ越し難民”が生まれるのは

春から北海道に移り住む女性は、引っ越し業者に依頼を断られ続けたという。

引っ越し業者が決まらない女子大学生(23)「日程を聞かれて、もう日程の時点で『ああ、もう無理です』と言われて。1社目は仕方ない、まあそうだよなと思ったんですけど、2社、3社となってくると、またかという感じで」

引っ越し業者に頼むのは諦め、宅配便などで荷物を送ることを検討しているという。

引っ越し業者が決まらない女子大学生(23)「(宅配業者に)『こんなに持って行けない』とか、またそこで言われたりとかするのかなという不安はあります」

いま続出している、こうした“引っ越し難民”と呼ばれる人々。この話題はインターネットでも「引っ越し業者見つけられない」「私も危うくなるところだった」「なりそうで怖いです」などの声があがり、1日で約650件のツイートを記録。

その理由について業界団体は──

全日本トラック協会 礎司郎輸送事業部長「ドライバー不足となりますし、作業員が足りない。いろんなことが今起こっているということで」

ただ、引っ越し難民続出には、人手不足以外にも理由があるという。

◆引っ越しは「力仕事」。募集しても…

1日に都内で行われていた引っ越し作業。この女性は、早めに業者を探したことで、予約を入れることができたという。

引っ越した女性「ちょっと不安があったので、早めに予約はしていました。(引っ越し難民に)ぎりぎり当てはまらなかったので、ちょっと安心というところはあります」

引っ越しは家具を階段で運搬するなど体力のいる仕事。人が足りないことで、予約を断ることもあるという。

スター引越センター 山本康之専務「引っ越し業界って人気がない職種なところがありますので、今年は特に全然、募集しても集まりが悪いというような状況。本当に猫の手も借りたいくらいですね」

◆「宅配業者」と競合も

東京・中央区の引っ越し業者「アップル引越センター」のコールセンターでも、引っ越しの予約を断る場面が。

アップル引越センター 文字放想代表「(例年)3月の下旬に関しては多少はあるんですけど、今年はちょっと、よりいっそう厳しい形ですね」

さらに、1割程度の人が、待遇改善をした大手の宅配業者に転職してしまったという。

アップル引越センター 文字放想代表「去年、宅配業界いろいろありまして、労働環境かなり改善されていることもありますので、宅配業界の方に人が流れていってしまってる」

引っ越し業者は、給料を上げたり、アルバイトがネットでシフトの空き状況を手軽に確認できるようにするなど対策を進めているが、人手の確保は難しいという。

◆「長時間労働対策」に「比較サイト」も…

一方、引っ越し会社などが加盟する全日本トラック協会は、引っ越し難民の発生に別の要因も指摘する。

全日本トラック協会 礎司郎輸送事業部長「長時間労働の対策というのをですね、各社が特に進め始めたのがだいたい2年前からということなんですね。(繁忙期に)依頼がきたら全部やりましょう、ということだったんですが、残業ができない。そうすると1日あたりの対応する件数が限られてしまう」

労働時間の削減から、業者が受ける引っ越し件数自体を減らしているという。

そして、近年増加するインターネットの引っ越し業者比較サイトも原因の1つだという。

全日本トラック協会 礎司郎輸送事業部長「最終的にどうしても価格の安いところ、そこを選んでしまう。当然、価格競争が激しくなると、もうからないということになりますので、引っ越しはやめたという業者が今、増えてきている傾向にあるかと思います」

全日本トラック協会は、今の状況が続くと、ますます引っ越し業者が減ると分析しているという。

◆“引っ越し難民”うまないために…「分散引っ越し」も

引っ越し難民をうまないために、分散引っ越しも呼びかけられている。全日本トラック協会が作成した今年の混雑予想のカレンダーを見ると、3月24日~4月8日までが特に混むことが予想されているため、それ以外の日に分散して引っ越しするよう呼びかけている。

また、この時期に多い人事異動だが、あるめがね販売会社は、主に春に行っていた異動を、1月~2月、5月~6月と時期を前後にずらして2回にわけて行うようにした。繁忙期を避けることで、社員のスムーズな引っ越しができただけでなく、会社が負担していた引っ越し費用も例年より約30%削減できたという。