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“稼ぎ頭”カタルーニャ 独立求める理由は

2017年10月7日 18:35

 スペインからの独立を問う住民投票を実施したカタルーニャ州。独立を認めない中央政府との対立が頂点に達している。住民たちはなぜ独立を求めるのか、そのわけを取材した。

 1日の投票当日、カタルーニャ州では、住民と投票を阻止しようとする警官隊が衝突し、800人以上の負傷者が出た。州政府側は、「投票の9割が独立に賛成だ」として勝利を宣言した。

 カタルーニャ州・プチデモン首相「我々は独立する権利を得た」

 カタルーニャ州はスペインの東に位置し、人口は約750万人、独自の文化や言語を持ち、自治を認められてきた。

 市内の売店では、同じ新聞社でスペイン語とカタルーニャ語と、2種類の新聞が売られている。また、州の公立学校では授業の9割以上をカタルーニャ語で行うことが州の法律で義務付けられている。

 カタルーニャ州は、経済的にはヨーロッパでも有数のバルセロナ港を持ち、物流が盛んで、日本人にもなじみのあるサグラダ・ファミリアなどの観光資源も抱え、「スペインの稼ぎ頭」と言われてきた。

 スペインのGDP(=国内総生産)の約20%を占める税収が最も多い州で、その経済規模は隣国のポルトガル1国を上回る。

 しかし、バルセロナの新たな都心として再開発された地区では、幹線道路のトンネル工事がストップしたままの状態になっている。渋滞解消のため10年前に始まったトンネル工事だが、予算不足で完成していない。

 市民「スペインはバルセロナより(首都)マドリードを優先してきた。(マドリードは)総延長40キロの地下鉄を開通させたのに、バルセロナは(他の鉄道との)接続が悪い路線バスをつくっただけだ」

 国に払った税金が税収が少ない他の州に回され、自分たちへの分配が少ないと不満を感じる人が増えているのだ。その不満が独立運動に火を付け、3日には、約70万人が参加するデモが起きた。

 独立をめぐる対立は意外なところにも。バルセロナ近郊に住むメリチェル(41)さんと夫のジョルディンさん(40)。カタルーニャ州の生まれではない夫は独立に反対、妻は独立に賛成の立場。

 夫・ジョルディンさん「カタルーニャがスペインから独立してもいいと思っているわけ?」

 妻・メリチェルさん「カタルーニャは国からひどい扱いを受けてきたと感じている。だから離れたいと思う人がいても当然でしょ」

 2人は住民投票以降、独立問題について議論することが多くなったという。独立問題は、住民にも亀裂を生じさせている。

 州政府側は来週10日にも独立を宣言する構えを見せているが、中央政府はカタルーニャ州の自治権停止もちらつかせ圧力をかけている。

 緊迫するスペイン情勢。中央政府と州のせめぎあいは山場を迎えている。