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クリーニング店の悩み…「長期間放置品」

2017年9月25日 20:32

 衣替えの季節を迎え、この時期に夏服をクリーニング店に持ち込む人も多いのではないだろうか。そのクリーニング店の約9割がある問題に頭を悩ませているという。一体何が起きているのだろうか――

 手早く行われるプロのアイロン掛け―25日、私たちは都内にあるクリーニング店を訪れた。この時期、夏物の衣服が多く持ち込まれるという。そんな中、この店ではある問題に頭を悩ませている。

 自宅となっている2階の一室に案内してもらうと…。

 GINYOSHA・小黒一也社長「こちらが長期お預かりしている商品になります」

 クリアケースの中には、長い間預かったままのシャツやトレーナー、また、浴衣などの衣服が詰められていた。さらに…。

 小黒社長「こちらの商品は結構いい商品なので『もったいないな』と私も思うんですけど」

 高級そうなスーツやコートなども。これらは全て客がクリーニングに出したものの、数年間、引き取りに訪れない「長期間放置品」と呼ばれる品物。伝票を見せてもらうと――

 小黒社長「(預かり日は)2006年2月19日なのでちょうど11年越えたくらい」

 10年以上引き取りに来ない品物も多いという。こうした「長期間放置品」は現在約200点。店舗に置ききれないため、居住スペースでの保管を余儀なくされていた。また、カビ防止のため5月から11月の間はクーラーが効く部屋で保管。そのため、電気代もかさむという。

 小黒社長「お客様の所有物なので絶対捨てるわけにはいかないですし、捨ててしまうと後々お客様とのトラブルの一番の原因にもなります」

 こちらの店では、客が引き取りの予定日から1か月間取りに来なかったら来店を促す電話をかけ、それでも取りに来なかった場合は保管料が発生するという通知をハガキで送っているという。

 こうした問題は取材した店だけではない。今年8月、クリーニング店の業界団体が全国の事業者を対象に調査を行ったところ、「長期間放置品」があると答えた業者は87.4%にのぼったという。

 なぜ、店に放置されたままとなるのか?実際に引き取りを忘れたという人は――

 会社員(32)「主人が取りに行ってくれているものだと思っていて、すっかり忘れちゃって」

 自営業(31)「冬物を4月くらいに出して、取りに行ったのが7月、覚えてなかったです。出したことをすっかり忘れていて」

 業界団体によると、客がクリーニングに出したことを忘れてしまうことに加え、引っ越しや死去などが放置の理由の多くを占めるという。

 全国クリーニング生活衛生同業組合連合会・金子征実事務局長「(すでに)10年、20年経過したものを、この先30年、40年、本当にずっと保管し続けなければいけないのかとなると、非常に大きい問題ですので、一定のルールを作れるようにしていきたい」

 現在の法律では、「長期間放置品」を店側が一方的に処分できないため、一定の保管期間を過ぎた場合のルール作りなどを国などに求めていくという。