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独総選挙4期目目指すメルケル首相 死角は

2017年9月23日 18:55

 投票を24日に控えたドイツの総選挙。難民問題への対応などが争点となる中、戦後最多に並ぶ4期目の首相の座を目指すメルケル首相に死角はあるのか。川上記者が報告。

 ドイツ第3の都市、ミュンヘン。大観衆が見守る中、登壇したメルケル首相が観衆に手をふると、大歓声に包まれた。

 選挙戦最後の演説に臨んだメルケル氏は、首相としてのこれまでの実績と、「EU(=ヨーロッパ連合)の枠組みの中でこそ、ドイツは繁栄できる」という信念を訴えた。

 メルケル首相「子供たちの世代のために、ドイツはこれからも借金をしません。EUの平和と自由のため闘うことがドイツを強くするのです」

 世界情勢の不透明感が増す中、「必要なのは安全と安定」だと訴えてきたメルケル氏。その言葉は、ドイツ国内の好調な経済状況にも裏打ちされ、有権者の共感を呼んできた。

 メルケル氏支持者「メルケル氏は社会のリーダーとしてうまく国政運営をしています」

 22日に発表された最新の世論調査で、メルケル氏が率いる「キリスト教民・社会同盟(=CDU・CSU)」の支持率は34%。「社会民主党」の21%を13ポイント引き離して第1党を維持し、メルケル氏が4期連続で首相に選ばれる可能性が高まっている。

 一方、同じ会場にはメルケル氏を支持しない人たちも大勢かけつけ、笛を吹いて演説を妨害したりメルケル氏の退陣を求めるメッセージを掲げたりした。

 有権者「(メルケル氏の難民政策は)反社会的で不公正で恐ろしいから反対です」

 批判の矛先はメルケル氏の難民政策。人道的な立場から、ドイツは、2015年以降、シリアなど中東やアフリカから110万人以上もの難民を受け入れてきた。

 それが、テロや犯罪の原因になっていると批判されたほか、難民に対する職業訓練や生活支援のために税金が使われることに国民の間から不満の声があがっている。

 その批判の受け皿となっているのが、反難民などを掲げる新興の右派政党「ドイツのための選択肢(=AfD)」。

 AfD アリス・バイデル筆頭候補「国境のチェックが甘くなり、ドイツは『テロリストの天国』になってしまった」

 AfDは世論調査の支持率で11%とほかの野党を上回っていて、一気に第3党に躍進する可能性も出てきている。

 AfDが国政に足場を築けば、政界不安定化の要因になりかねず、24日の投票結果が注目される。