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話題:獣害対策切り札“吠えるウルフ装置”

2017年7月13日 21:48
話題:獣害対策切り札“吠えるウルフ装置”

 ネットで話題の言葉を取り上げ、そのウラ側を探っていく「ホットワード」。今回のテーマは「スーパーモンスターウルフ」。

 スーパーモンスターなウルフが今月11日、千葉県木更津市の田んぼに現れました。この「スーパーモンスターウルフ」がいま、ネットで話題となっています。

 ただ、よく見ると、このウルフは作り物。なぜ、作り物のウルフがネットで話題になったのでしょうか…?

 最近、クマやイノシシ、サルなど野生動物が畑の作物を荒らすことが深刻な社会問題になっています。「スーパーモンスターウルフ」は「農作物を有害な鳥獣から守るため」に作られました。

 「かかし」みたいなものですが、普通のかかしとは違います。「スーパーモンスターウルフ」にはセンサーが設置されていて、野生動物が近づくと、目の部分のLEDライトが光り、首が動きます。まるで生きているかのように、威嚇します。

 さらに、「スーパーモンスターウルフ」は、吠(ほ)えることもできるのです。動物の音声や人間の声が内蔵されていて、個の音声で野生動物を威嚇します。

 音声は最大90デジベルまで出すことができて、静かな地域だと1キロ以上も響くそうです。しかも、音声には規則性がないため、動物が音声に慣れる可能性は低いそうです。

 首が動き、目が光り、大音量で威嚇する、この仕掛けによって野生動物から農作物を守るのが「スーパーモンスターウルフ」なんです。

 元々は「モンスターウルフ」という名前で、北海道で精密機械部品の加工などを手がける「太田精器」が開発し、北海道では試験的に設置されています。

 クマやシカによる農作物被害に対して高い効果が出ていて、「6年使い続けても、いまだ効果は絶大だ」と言っている人もいるそうです。

 なぜ、木更津市に設置されたのでしょうか。木更津市では近年、イノシシによる被害が増えています。イノシシが入り込み、田んぼを荒らすため、電気柵を設置したり、罠を仕掛けたりしましたが、なかなか効果が出なかったそうです。

 そこで今年5月、「JA木更津市」の梅澤組合長が「太田精器」に連絡を取り、試験的に設置することになりました。梅澤組合長はさらに「モンスターウルフ」に改良を加え、「スーパーモンスターウルフ」に改名、製造や販売までできるようにしたそうです。

 梅澤組合長は装置を量産してくれるメーカーを探していて、「同じ獣害に悩んでいるところも多いので、一日も早く、スーパーモンスターウルフを全国に広めていきたい」と話していました。