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決選投票へ ルペン候補躍進の背景を探る

2017年4月28日 16:26
決選投票へ ルペン候補躍進の背景を探る

 23日に行われたフランス大統領選挙の第1回投票で、極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン候補が決選投票への進出を決めた。なぜルペン候補が躍進したのか、その背景を探った。

 フランス大統領選挙の第1回投票。世界が衝撃を受けたのは、ルペン候補の躍進だった。投票の結果、2位に入り、来月の決選投票に進んだ。【開票結果(暫定)マクロン候補24.01% ルペン候補21.30%】

 この結果が判明する直前、私たちは、ある男性に話を聞いていた。5年前に「国民戦線」の党員になったウィリアム・デアビさん(37)。デアビさんはフランス北部の街で現職の警察官として勤める傍ら、ルペン候補への支持を呼びかけてきた。

 デアビさん「国民戦線への加入は、フランス政界の様相を変化させたいから。ルペン氏の取り組みは、フランスやフランス国民に対して、わりと誠実だと思います」

 最大の問題は「治安の悪化」と考えている。

 デアビさん「(リール近郊の)この通りでは暴力や窃盗、麻薬の密売が、はびこっている。商店街にはイスラム系の店が並んでいるでしょう。“ここは本当にフランスなのか”と思ってしまいます」

 治安への不安や不景気を背景に「国民戦線」は北部・オードフランス地域で特に支持を広げてきた。オードフランス地域では第1回投票でも、ルペン候補がマクロン候補に10ポイント以上の差をつけてトップだった。【ルペン候補31.05%、マクロン候補19.50%)

 やり玉に挙がった移民たちは、どう考えているのか。

 「憎悪へと誘い、終わりのない憎悪の連鎖に引きずり込もうとするだけだ」

 「最近は“フランスから出てけ。なんでうちの子のパンを奪うんだ”と言われるんだ」
 「キレても仕方ないだろ」
 「だってそうだろ。イラつくよ。今の状況がいいってのか?じゃあ、俺たちはここじゃよそ者だってのか?同じ地元民じゃねえのか?」

 ルペン候補の躍進はコミュニティーの分断も招いていた。

 ルペン候補の主張はどうなのか。私たちは去年7月に取材し、直接、話を聞いている。

 ルペン候補「フランスはEUから領土の主権、誰が国内に入るかを決める権利、誰を国内に残らせるかを決める権利を取り戻します」

 ルペン候補は公約で、移民の受け入れ制限や国境管理の強化を主張している。

 決選投票への進出を決めたルペン候補は勝利宣言で、こう述べた。

 「移民の大量流入やテロリストの自由な移動を許し、金があらゆる権力を有するフランスを選ぶか、国境を設置し、我々の雇用、購買力、治安、国家アイデンティティーを守れるフランスを選ぶかだ」

 調査によると、ルペン候補に投票した人のうち82%が移民政策を根拠に投票したことが分かった。(Sondage Opinion Way調べ)

 ルペン候補は26日、決選投票に向けた新たなスローガンを発表した。

 「フランスを選ぼう」

 それは「ルペン大統領の誕生を認めるかどうか」という選択であるとも言い換えることができる。