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12日間の北朝鮮取材 記者が振り返る

2017年4月23日 19:13

 緊迫する北朝鮮情勢。12日間の北朝鮮取材を終え、22日に北朝鮮・平壌から中国・北京に戻った横島大輔記者が伝える。

■取材を通して感じたことは?

 ミサイル開発への強いこだわりと金委員長の権威付けを進めていることを感じた。ミサイルについては軍事パレートだけでなく取材で案内された教育や芸術の場など一般市民が触れられる場にどんどん取り入れられている。

 金委員長の権威付けについてはあらゆる場所に金委員長の視察時期を記したプレートがあり、金日成主席と並んで写真が飾られ、金日成に並ぶ偉大な指導者としての権威付けを進めているとの印象もあった。

■今回の取材ツアーを組んだ北朝鮮の思惑を感じる場面はあったか?

 宋日昊大使の会見は、日本メディアとの懇親会に応じる可能性があると事前に前振りはあったが、カメラありの会見になるとは思わなかった。大使はすべての記者に質問の機会を与えようとし、質問はもうないかと聞き返すなど前向きな姿勢だった。こうした一連を全て撮影させ、日本へのメッセージを発信する場としてセットされた印象だった。そして、地方ツアーでは大使が「残留日本人などの問題に人道的な立場から対応する」と述べた理由を見せた形だ。

 遺骨埋葬地では、案内役の住民が「遺骨があるためその土地に家も建てられず苦しめられている」と訴え、残留日本人の取材現場では、高齢の日本人妻が「祖国の地を踏みたい」と涙ながらに語った。切なる願いであることは間違いないと思う。一方で、問題の渦中にある人々の声を通した日本へのメッセージにもなっており、我々の報道を考えた上で組まれたとの意図も感じた。