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解説します:働き方改革実行計画のポイント

2017年3月28日 18:25
解説します:働き方改革実行計画のポイント

 「働き方改革」の実現に向けた実行計画のポイントを、政治部・原聡子記者が解説する。

 これまでの議論で最も注目されたのは「長時間労働規制」の部分だ。具体的には、残業時間に明確な上限を設け、これを超えた場合は雇う側に罰を与えるという。


――上限というのは、どれくらいなのか。

 原則はこれまでと同じで、ひと月あたりの残業時間の上限は月45時間、1年間では360時間となる。ただ、これまでは雇用者と労働者で合意して、特別な事情がある場合は、残業は事実上、何時間でも認められていた。

 しかし、今後は合意があった場合でも残業時間は年720時間まで。さらに1か月あたりでは休日出勤を含んでも「月100時間未満」を守らなければいけなくなる方向となる。違反した場合は罰せられる事になる。


――残業が月100時間というのは、1日どれくらいの勤務になるのか。

 例えば月曜日から金曜日まで週5日、午前9時から昼休みを挟んで8時間の勤務とすると、単純計算で毎日午後11時まで残業する事になる。

 野党側は「いくら忙しいからと言って、これを認めるのはおかしい」と反発している。というのも、月100時間の残業というのは脳や心臓疾患との関連性が強い「過労死ライン」とされている。

 上限を設けるとは言え、こうした残業時間を政府が認めた事になるのではないかと野党などは批判している。つまり、もっと上限を引き下げるべきと言っている。


――政府側はこうした批判に対し、どう説明しているのか。

 政府は、残業の上限は原則、年間360時間、月45時間であって、「月100時間未満というのは、あくまで本当に忙しく、やむを得ない時だけの上限であり、100時間まで働かせていいという事ではない」と説明している。

 いずれにしても重要なのは、実際の現場で残業が減らせるかどうか。日本人の働き方を変える事はできるのか、きちんとチェックしていく必要がある。