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ライフネット社長 多忙だからこそ丁寧に4

2017年1月26日 15:58
ライフネット社長 多忙だからこそ丁寧に4

 「ライフネット生命保険」岩瀬大輔・代表取締役社長に聞く「飛躍のアルゴリズム」。3つ目のキーワードは「社会人1年生にあえて言う。『仕事は50点で構わないから早く出せ』」。その真意とは―


■ためらわずに「助けてもらう」

――まずこの意味を教えて下さい

 私の書いた本で「入社1年目の教科書」というのがあって、直近でも35万部出てるんですけど、この中の一節です。この本は元々ですね、新社会人になると生命保険に勧誘されるので、私はネットじゃなくても、本で勧誘しようと思い、PRのつもりで書いたんです。

 「50点でもいいから早く出せ」というのは、早く出して、早くアドバイスをもらって、もっと良くしていこうということなんですね。学生であったら、試験とかレポートを人にやってもらったらカンニングになっちゃうじゃないですか。でも仕事であったら、同僚や先輩、友達に手伝ってもらって、いい提案書作ってお客さんに持って行って、怒る人はいないんですね。

 やっぱり仕事って1人でやるものじゃなくて、どれだけ多くの人の力を借りてやっていくかということなので、ためらわずに早くいろんな人に助けてもらいながら、大きな仕事をやっていこうと、そういったメッセージです。

――50点が最終じゃなくて、まず50点でそこから100点以上にもっていくと。

 仕事を抱えてしまって、よくあるのは「もっと早く相談してよ」と上司はよく思うんですよね。そうじゃなくて、自分でできる限りやったら早く出して、“赤入れ”してもらって、たくさん修正してもらって、もっといいものを作っていこうと、そういう趣旨です。


■「どの仕事でも同じだな」と

――1年目の教科書ということで、「(1)頼まれたことは必ずやりきる」「(2)つまらない仕事はない」「(3)50点で構わないから早く出せ」と3つを強調されてますね。

 (1)は、これはやはり「信頼される人材になろう」ということなんですね。これは別に1年目じゃなくても、10年目でも20年目でも、やはり信頼というのが仕事をしていく上で一番大事なので、それをどんどん作っていこうと。

 (2)は、結局いろんな仕事見てて「どの仕事も同じだな」と思ったんですね。外から華やかそうに見える仕事でも、例えばテレビの仕事、一般の方から見るとすごく華やかに見えるかもしれないけど、実際いろんな方が、いろんな地道な努力を積み重ねてきてるわけじゃないですか。

 結局、楽しい仕事とつまらない仕事があるわけじゃなくて、仕事を面白くできる自分がいるかどうかだけなんだなって思いました。それを知らないと、若い人は「仕事つまらない」と言いがちなので、そうじゃなくてどうやって面白くしていくかというのも自分次第ですと、そういったメッセージです。


■若者と「絶対無理」に挑戦したい

――ここで、これまで多くの夢を具現化してきた岩瀬さんの今後の夢をお聞きしてもよろしいでしょうか。

 60歳になったら、30歳の若者をつかまえてみんなに絶対無理だよって思えるような挑戦をするベンチャー企業を起こしたいと思っています。

――かつて出口さんが、岩瀬さんと組んでされたようなことをですか。

 こういう老後いいなと思ったんですね(笑)。つまり若い人たちに囲まれて、刺激を受けながら、みんなに「そんなの絶対無理だよ」っていわれるような挑戦をする、ということはすばらしいなと思ったんですね。僕ら始めた頃は、「絶対無理だ」と言われたんですよ。あんな2人組に免許出るわけない、お金集まるわけない、保険会社絶対できないって。仮にできても絶対うまくいかないと。

 でも本当に出口が、日に日に若くなっていくのを見て、自分もいつかこういうふうに、自分よりもずっと年下の若い人と大きなチャレンジができたらすごくいい人生だなと思いました。

――28歳離れているということですが、28も離れている人にモノが言いづらかったりすることはなかったですか。

 でも逆にですね、10個上だと遠慮して言えないんですけど、28だと、私の父親と同じ年齢なんですね。だから親子みたいな関係なので、結構言い合いながらでした。向こうも言われても怒る気にならないというか、だから逆に年齢が離れていたことで、遠慮せずにいい関係でこれたのかなと思います。