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ヤフー安宅氏 無駄な努力をしない社会に1

2017年1月20日 13:12
ヤフー安宅氏 無駄な努力をしない社会に1

 キーワードを基にビジネスのヒントを聞く日テレNEWS24・デイリープラネット「飛躍のアルゴリズム」。今回はヤフー・チーフストラテジーオフィサーの安宅和人氏。急速に進化する人工知能。AIは私たちの生活をどのように変えるのか?

 「ヤフー、チーフストラテジーオフィサー」の安宅和人氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。1つ目のキーワードは「根性に逃げない社会にする」。この言葉の背景とは?


■経歴

 安宅氏は、1993年に東京大学大学院生物化学専攻にて修士号を取得後、アメリカに本社を持つ経営コンサルタント会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。4年半の勤務後、エール大学・脳神経科学プログラムに入学。2001年博士号を取得し、マッキンゼーに復帰。

 そして2008年にヤフーに入社。COO室などを経て、2012年から現職で幅広い経営課題やデータ利活用の推進にかかわっている。


■“手計算”でやっても勝てない

――安宅さんはブランド戦略や経営課題の解決のほか、インターネットやAI(=人工知能)の時代に社会全体がどう変わろうとしているか、またどう変わるべきかを広く研修をしたり提言をされたりしています。その中で、最初に「根性に逃げない社会にする」ということですが、どういった意味なのでしょうか。

 これはですね。やっていても、詮ない努力をしない社会にするということですね。例えば、コンピューターでこのぐらいのことを一瞬でできる時に、手計算とかそろばんでやっていたって勝てないじゃないですか。だから、明らかにワークしない努力の仕方をやめる。

 あるいは、本当はもっと劇的に早くやる方法があるんだったら、それを考えるのが本当に考えなければいけないことです。しかし、とりあえず手計算しかできないから「手計算で頑張ろう」というのが多いと思うんです。僕はそれで前回の戦争も負けたと思っていますので、二度とそういう国にしたくないなと思っています。それが「根性に逃げない」という言葉の背景です。


■仕事とは「変化が起きること」

――安宅さんも生産性を上げなければということで、日本もみんなその意識はあってそう思っているんですけれども、なかなか実際にそういうふうになっていないと。安宅さんは今までどういうふうなことを考えながらお仕事されてきたのでしょうか。

 “仕事”とは、そもそも何なのかっていう話なのですけが、研修とかで聞くと、みんなは金をもうけることだとか、人を喜ばせることだとかいろいろ言うのですが、突き詰めると、高校1年ぐらいの物理で習う仕事というのは「力×距離」だと思うんです。つまり、どんなに力を入れても変化が起きなかったら、仕事が起きてないと思うんですよね。

 変化が起きるように、変化にこだわると。努力なんかしなくても変化が起きた方がよくて、とにかく変化が起きて変わる。相手が変わる。お客さんに喜んでもらえる。それが起きるかどうかということに1番エネルギーを注いできたつもりです。


■結果を生まないものはやめる

――価値を上げるということはそういうことなわけですよね。

 これは私の中の「定義」ですけれど、生産性という不思議な言葉がありますけれども、突き詰めると、どれだけのアウトプットを、どれだけのインプットでたたき出せるかということなんです。我々の仕事でいう投下した労力・時間でどれだけの価値を生むか。この価値というのは結局、変化です。なるべく重いものが勢いよく変わると大きな変化だということですよね。


――今、日本がやっていることは、だいぶ、無駄なものも多いということですよね。

 明らかに、変化にこだわらないタイプのさっきのそろばんみたいなやつが多いのではないかということです。効率よくアウトプットするためには、正しい努力をするということです。

――いらないものはやらない。無駄なことはやらないということですね。

 そうですね。結果を生まないとわかっていることはやめるということですね。

――やめるのがまた難しいというところもありそうですけどね。

 胸に手を当てれば「それは意味ないんじゃないの」ということは、いっぱいあるわけですよ。