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共産党“現実路線”にシフト? 記者解説

2017年1月17日 18:44
共産党“現実路線”にシフト? 記者解説

 3年ぶりに開かれた共産党の党大会に、初めて民進党や自由党など他党の代表者が出席した。野党共闘を訴え、変化をアピールする共産党。何が起きているのだろうか。共産党の変化とその背景について、日本テレビ・古谷朋大記者が解説する。


――共産党の現状は?

 日本共産党の現状だが、党員は1990年に約50万人だったが現在は約30万人にまで減っている。世界に目を向けても1989年当時は、ソ連や東ドイツなど12か国で共産党が政権を握っていた。

 ところがソ連の崩壊などを経て、現在共産党政権が残っているのは中国、ラオス、ベトナム、キューバの4か国だけだ。世界的に共産主義の理想を訴えるだけでは、有権者の支持を得るのは難しくなっている。

 そうした中、目立っている動きが共産主義の旗を完全には下ろさないものの、より現実的な方向に路線を修正するやり方だ。例えば中国やベトナムなどは、早い段階から本来共産主義とは相いれない市場経済を導入するなどして経済成長を続けている。

 また1990年代のイタリアでは、中道左派の「オリーブの木」と呼ばれる政党連合に“共産党”が参加して政権を担う例もあった。


――なぜ名前にオリーブを使うのか?

 オリーブは「平和の象徴」とされていて、いくつかの政党が実となってひとつの木、政権をつくることからつけられたそうだ。イタリアの共産党は政権に共産主義を持ち込むわけではなく、当時の与党に対抗するために協力した。

 日本でも自由党の小沢代表が、野党各党が比例候補の統一名簿を作って選挙を戦う「オリーブの木」構想を提唱している。


――共産党単独でなく、他の政党と協力して政権を担う?

 そういうことだ。こうした世界的な流れの中、日本共産党も民進党など他の野党と協力して、安倍政権を打倒する事を掲げている。そのため党の基本政策にあげている「日米安保条約の破棄」については凍結するなどとして、徐々に路線を修正している。


――今後、野党の連携は進んでいくのか?

 ある程度は進むとみられるが難しい面もある。民進党・蓮舫代表は「共産党とは考え方が違う」と述べて、政権を一緒につくることには否定的な考えを示した。共産党・志位委員長も党大会の中で「かなり変わってきたとはいえ、国民の中に共産党に対する拒否感がなお存在する」と話した。

 今後、野党共闘が深まるのかどうかは、まずは有権者にとって魅力ある政策を一致して打ち出せるかにかかっている。