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流行の兆し…おたふく風邪を予防するには?

2016年2月19日 4:25
流行の兆し…おたふく風邪を予防するには?

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。18日は「おたふく風邪」をテーマに、諏訪中央病院・鎌田實名誉院長が解説する。

 「おたふく風邪」は正式には流行性耳下腺炎というウイルスによる感染症で、今、流行の兆しを見せている。インフルエンザやノロウイルスなども流行しているが、今回は知っているようで知らない「おたふく風邪」について取り上げたい。


■去年11月頃から「おたふく風邪」患者数↑

 国立感染症研究所が全国3000の小児科で調査した「おたふく風邪」の患者数のデータによると、去年11月頃から増え始めていて、今年になっても去年の同じ時期に比べて高いレベルで推移している。国立感染症研究所の砂川富正さんによると、「今後、患者数が増える傾向があるので注意が必要」だという。


■「おたふく風邪」の症状の特徴とは?

 「おたふく風邪」は患者の約60%が3歳~6歳。子どものうちにかかっていれば、大人になってかかることはない。ただ、子どものうちにかからず大人になってからかかると、重症化することがある。

 「おたふく風邪」の症状の特徴は、両側または片側の耳の下やあごの下の腫れと痛みが起こる。通常、発症から1~2週間で腫れは消え、ほとんどは自然に治る。中には38度から39度ほどの高熱が出ることがある。

 さらに、「おたふく風邪」は、脳や脊髄を保護する髄膜が炎症を起こす髄膜炎や難聴などの合併症を引き起こし、重症化する恐れもある。また、思春期以降にかかった場合、精巣炎や卵巣炎の恐れも出てくる。

 ただ、感染しても3割ほどの人は不顕性感染といって、症状がほとんど出ない人もいるので、本人が「おたふく風邪」と気づかないまま周りの人に感染させてしまうケースもある。


■「おたふく風邪」はどのように予防する?

 では、どのように予防すればいいのか。「おたふく風邪」の主な感染経路は飛まつ感染と接触感染の2つ。飛まつ感染は、せきやくしゃみなどによって飛び散ったウイルスを口や鼻から吸い込むことで感染する。接触感染は、ウイルスが付いた手で口や鼻に触れることで感染してしまう。感染を防ぐためには、やはり、日頃からしっかりと手洗いやうがいを習慣づけることが大切だ。

 また、1歳から予防接種が可能となり、感染を防ぐことが期待できる。ただ、「おたふく風邪」の予防接種は定期接種ではない。「おたふく風邪」を含むワクチンの定期接種は、かつて行われていたが、髄膜炎など副反応が出るケースが想定されていた数よりも多かったため、1993年に定期接種は“事実上中止”となった。現在は、このワクチンとは別に、「おたふく風邪」単体のワクチンが任意で接種されることになった。

 予防接種は、重症化を防ぐためにも、流行が始まる1か月くらい前には受けた方がいいのだが、「おたふく風邪」にかかった場合のリスクと予防接種によるリスクとを、医師とよく相談した上で、接種するかどうかを決めてほしい。


■流行に地域差…「流行情報に注意を」

 きょうのポイントは「流行情報に注意を」。「おたふく風邪」は地域で流行の状況に差がある。流行情報に注意しながら、手洗いやうがいを徹底しよう。今後、流行が本格化してくる恐れもある。子どもの耳の下などに腫れや痛みなど「おたふく風邪」の症状が出ていないか、子どもの様子を注意して見てあげることが大切だ。