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中国・台湾の分断後初 中台首脳が会談

2015年11月7日 18:35
中国・台湾の分断後初 中台首脳が会談

 中国と台湾が1949年に分断して以来、初めてとなる首脳会談が7日、シンガポールで開かれた。

 中国と台湾はいまだに互いを主権国家として認めていない。そうしたことから、7日行われた会談では、互いを肩書ではなく「さん」づけで呼び合った。本質的な対立部分は、いわば「棚上げした」形で、66年にわたる分断で初めてとなる歴史的なトップ会談を実現したことになる。

 中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統はまず、笑顔で握手を交わした。そのセレモニーが終わると、会場では、詰め掛けたメディアから「おお」というどよめきがあがった。

 習近平国家主席「両岸の指導者が会談し、新しい歴史の1ページを切り開いた。両岸の同胞が引き続き、平和で安定した生活を続けられ、我々の子孫が美しい未来を共有するため会談した」

 馬英九総統「歴史には複雑な課題があるが、各自が主張する敏感な問題について現実を直視し、知恵と忍耐と誠意で解決し、両岸の和解と協力を実現できる」

 会談冒頭で、双方とも笑みを浮かべながらこのようなやり取りで、歴史的な会談の融和ムードを盛り上げた。習近平国家主席は、就任以来繰り返し使っている「中華民族な偉大の復興を実現したい」という言葉で、その意義を表現した。

 今回の会談の背景には、来年1月に予定されている台湾総統選挙で野党の民進党の候補がリードしていることが考えられる。馬英九総統は中国との関係を強めたが、中国と距離をおきたい民進党は今後、台湾の独立を志向する可能性がゼロではない。

 しかし中国は、台湾の独立など決して許すわけにはいかず、中国との良好な関係を続けることこそが台湾の平和と安定の基礎だというメッセージを、中国との関係改善を望んだ馬英九政権を評価する形で送り、独立志向をもつ勢力をけん制したいものとみられる。

 一方、台湾の側からすれば、馬英九総統にとって中国との関係を改善した、まもなく8年になる任期の総決算としての歴史的な会談になるほか、次期総統選挙で劣勢とみられる与党・国民党の候補への追い風にしたいものとみられる。

 今回、共同声明の発表などは予定されておらず、中台関係を改善させる具体的な成果があるというよりも、いわば双方のトップが会ったこと自体が歴史的な会談の大きな成果といえる。

 中国、台湾が別々に行う記者会見では、「分裂以来の歴史的な会談であった」ことに加え、互いの指導者が中国と台湾の「現状維持」を確認し合った点を強調するとみられる。

 一方、記者会見を開くのは、台湾側は馬英九総統自身だが、中国側は習近平国家主席ではない。そこには、総統として会談の意義をアピールしたい馬英九氏に対し、国として実利を取りに行った中国という思惑の違いがありそうだ。