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「維新の党」分裂 除名・解党…双方が応酬

2015年10月29日 0:56
「維新の党」分裂 除名・解党…双方が応酬

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。28日は、「維新の混乱」をテーマに日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。

 ■維新の党、分裂

 維新の党が分裂状態となり、混乱を極めている。分裂したのは松野代表ら執行部のグループと橋下市長ら大阪系のグループ、そして、どちらにも属さないグループ。

 もともと党の運営などをめぐり、執行部のグループと橋下市長ら大阪系のグループが対立を深めていたところ、党の生みの親である橋下大阪市長が、8月に離党。新党を作ると表明し、大阪系の議員も追随する姿勢を見せたため、この時点で党の分裂は避けられない状況になった。

 ■「除名」「解党」双方が応酬

 すると執行部は大阪系グループ側の議員を除名した。これに対して、大阪系のグループは反発。そもそも、松野代表ら執行部は9月末で任期が切れていて、執行部とは言えず、除名する権限はないなどと主張していた。

 そのような中、大阪系の議員らは先週、「臨時党大会」と位置づけた会合を開いた。そして松野代表らがいないこの場で解党、党の解散を決議した。これがさらに混乱を深めた。

 自分たちがいないところで決められた執行部側としては、この決議は認められず、この「臨時党大会」の正当性と、解党の扱いをめぐっても意見が対立することになった。

 大阪系は、この党大会には正当性があり、あくまでも解党するという立場。一方、執行部側は、必要な手続きを経ていないとして、この党大会は承認せず、解党の決議についても無効という立場だ。双方の主張は次の通りだ。

 執行部側・松野頼久代表「勝手に出て行くほうが、勝手に党大会を開いて、解党を決議するなんてことは、全く考えられないことだと思っています」

 大阪系・橋下徹大阪市長「永田町の国会議員が、30人にも満たない、あれが本当に大阪の地方議員をバカにして、除籍だどうだって言ってきたもんですから、きのう維新の党は解党」

 ■お金をめぐって、前代未聞の争い

 両者の主張は平行線で、党の存続をめぐっては司法の場にもつれこみそうだ。さらに党のお金をめぐっては、すでに前代未聞の争いが起きている。

 政党にはそれぞれ「政党交付金」というお金が税金から支払われている。年4回に分けて渡されるのだが、維新の党には今年だけでおよそ20億円が交付されている。このお金が入っている銀行口座の通帳や印鑑、キャッシュカードを保管しているのは、大阪系なのだが、執行部側は、除名した大阪系がもし勝手にお金を下ろしたら刑事告訴も辞さないとしている。

 一方で、解党を主張する大阪系は、大阪都構想の住民投票などで使った分をのぞいて、残りの交付金は国庫に返納、国に返すとしている。この場合、解党を認めていない執行部側にはお金が残らないことになり、対立は完全に泥仕合の様相を呈している。執行部側の議員の1人は、「嫌がらせみたいな世界になってしまっている」と話している。

 ■「新党」急ぐ大阪系

 橋下大阪市長らは、今週末に「おおさか維新の会」として新党の結党大会を予定している。党として実際の活動をスタートするのは12月以降の見通しだが、まず先に結党大会をするという。

 新党のアピールを急ぐのには理由がある。大阪府知事と大阪市長のダブル選挙を来月22日に控えているためだ。橋下市長は、このダブル選を1つでも落とせば、党を率いてきた自身のブランド力が落ちるとともに、これまでこだわってきた大阪都構想が完全についえてしまうので、絶対に負けられない。そこで、この混乱の中でも新党の立ち上げを強行しようとしているのだ。

 ■政党は国民のもの

 きょうのポイントは、「政党は国民のもの」。政党は本来、国民と国会や政府を結ぶパイプ役となるもの。いま維新の党は、党として正常な活動ができていない。昨年12月の衆院選では、比例で維新の党に投票した有権者が830万人以上いる。政党である以上、この人たちを置き去りにして内輪もめに終始するのではなく、国民のための組織であるべきだと思う。